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JOURNAL / 世界の食トレンド

匂いは強烈、味わいは極上。豪州で広がるドリアンブーム

Australia [Sydney]

2026.10.19

匂いは強烈、味わいは極上。豪州で広がるドリアンブーム

text by Akiko Ganivet
鼻を刺激する独特の強い香りが特徴で、ホテルや公共交通機関への持ち込みが禁止されることもあるドリアン。その香りからは想像できないほど果肉はクリーミーで、完熟した果肉はカスタードやバニラクリームのような濃厚な口当たり。バナナやパイナップル、キャラメルを思わせる甘味の奥に、タマネギや発酵食品のような独特の風味が重なる。甘いだけではない複雑な味わいこそが、ドリアン好きにはたまらない魅力なのだという。

東南アジアで「果物の王様」とも呼ばれ、高級フルーツとしても知られるドリアン。その強烈な匂いが有名だが、一度ハマると忘れられない濃厚な甘さを持つ魅惑のフルーツだ。数年前から始まった中国のドリアンブームは、アジア系住民が総人口の2割近くを占めるオーストラリアにも波及し、これまで一部のアジア系食材店などでしか見かけなかった本場マレーシア産のドリアンが、豪州でも気軽に買えるようになった。

品種によっても味わいは大きく異なり、苦味のある濃厚なタイプから、甘くまろやかなものまで様々。中でもマレーシア産の「ムサンキング」は、鮮やかな黄色の果肉と、ねっとりとした濃密な食感、甘さの中にほのかな苦味を感じる奥深い味わいで知られるプレミアム品だ。

2021年以来、毎年開催されている「ドリアン・フェスティバル」は、2026年も7月にメルボルンのクイーン・ビクトリア・マーケットで開かれた。ここでは様々な品種の食べ比べも楽しめ、ドリアン好きが集まるイベントとして定着している。今年は「ムサンキング」が35豪州ドル/1㎏(約4000円)で販売されていたそうだ。

「ドリアン・フェスティバル」の様子
完熟ドリアンならではの香りを楽しめる「ドリアン・フェスティバル」。東南アジア料理のお祭りと並行して開催されることが多い。

プレミアムドリアン専門店「ドリアン・ラ(DURIAN LAH)」は、これまでタイ産の冷凍ドリアンが主流だった豪州マーケットに目をつけ、ムサンキングなどフレッシュな高級ドリアンを輸入し、ウェブで販売している。冷凍品では味わえない、完熟ドリアンならではの香りやねっとりとした食感を前面に打ち出しているのが特徴だ。同社が食べ放題の「ドリアン・ビュッフェ」(99豪州ドル/75分)を企画したところ、8種類ものドリアンを一度に食べ比べられるとあって、即完売したそうだ。

サンキング(66豪州ドル/400g)
ウェブで即売り切れたムサンキング(66豪州ドル/400g)。マレーシア産のプレミアムドリアンだ。

好き嫌いがはっきり分かれるからこそ、「もう一度食べたい」と思わせる不思議な吸引力があるドリアン。もはや「果物を食べる」というより、ひとつの食文化を体験する行為とも言えるのではないだろうか。

ドリアン味のチーズパン
中国系移民が多く住むチャッツウッドのベーカリーでは、ドリアン味のチーズパンが販売されていた。

*1豪州ドル=109円(2026年10月時点)

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