日本のコーヒー文化を底上げしていきたい。東京・神保町「グリッチコーヒー」
コーヒーショップの可能性
2023.10.30
photographs by Daisuke Nakajima
連載:コーヒーショップの可能性
日常であり、ミニマムだけれど、内包する世界はワールドワイド。コーヒーは、ソーシャルな飲みものです。そしてコーヒーショップも、商品提供以上のソーシャルな機能を持ち得る場。コーヒーショップで何ができる? 何をすべき? 何がしたい?様々な在り方を紹介しながら、彼らが耕す未来を覗きます。
東京・神保町「GLITCH COFFEE&ROASTERS」鈴木清和
家具工などを経験の後、「バール・デル・ソーレ」に1年。「ポール・バセット」アジア60店舗のブランドマネージャーとしてチーフバリスタ、ロースターの育成に13年関わり、2015年独立し、シングルオリジンコーヒー専門店として現店開店。産地個性の素晴らしさを表現するため、ライトローストのスペシャルティコーヒーを提供。大阪、名古屋に続き、23年に銀座店をオープン。
▶[開店]2015年4月
▶[活動形態]焙煎豆販売、ショップ、シェアロースター、コーヒーフェスのプロデュース、専門学校講師、カフェコンサルティング
▶鈴木さんにとっての「コーヒー」とは?
1杯のコーヒーから、ライフスタイルを表現できる。そしてショップは、日本を背負い世界に向けて発信できる場所。
世界標準で、時差なく進む
新しいコーヒーカルチャーは、世界各地で同時多発的に起こり、そのシーンは世界標準で時差なく切磋琢磨している。SNS等を通じて情報速度も早く、コーヒー好きは世界をまたいでショップを巡る。「世界のトップが目指すクオリティは同じ。味わいの到達点もほぼピンポイント」と話すのは神保町「グリッチコーヒー&ロースターズ」鈴木清和さん。
具体的には苦味やエグみなどのオフフレーバーがなく、エチオピアならストロベリー、ケニアならカシスの香りといった豆の産地表現ができていること。その上でトップクラスは皆、欧米亜問わず抽出液の濃さや収率がコンマ以下の範囲内に定まってくるのだという。
「これは世界中の誰が飲んでも納得する味。その前提の上で日本人としての発信をしたい」。鈴木さんはオーストラリアの「ポール・バセット」で世界を舞台に活躍、海外のトップロースターとの親交も厚い。「前職在籍時は、日本人の僕がコーヒーをアプローチしてもオーストラリアスタイルとしての発信になる。そこにギャップも感じ、日本の看板を背負って日本に対価を還元したいと思うようになりました」
1人では成し得ないから
日本のコーヒー文化は1人じゃ作れない。店には、そのためのチーム作りの場としてシェアロースター制を導入した。焙煎を希望するバリスタや焙煎士に、プロバットの最新式焙煎機を同社開発の管理システムを活用しながらシェア。「バリスタにも生豆や焙煎への責任感が芽生えれば、格段にレベルアップする」。もちろんグリッチの日々の焙煎プロファイルも公開する。「1人では成し得ない化学反応のような発想や結果を共有し、高められれば」
◎GLITCH COFFEE & ROASTERS
東京都千代田区神田錦町3-16
☎03-5244-5458
月曜~金曜 8:0~19:00
土曜、日曜祝日 9:00~19:00
無休
http://glitchcoffee.com/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2016年12月号掲載)
掲載号はこちら
関連リンク