カップの中の「おいしさ」をしっかり引き受ける。「ホノ・ローステリア」
コーヒーショップの可能性
2023.11.02
photographs by Daisuke Nakajima
連載:コーヒーショップの可能性
日常であり、ミニマムだけれど、内包する世界はワールドワイド。コーヒーは、ソーシャルな飲みものです。そしてコーヒーショップも、商品提供以上のソーシャルな機能を持ち得る場。コーヒーショップで何ができる? 何をすべき? 何がしたい?様々な在り方を紹介しながら、彼らが耕す未来を覗きます。
「ホノ・ローステリア」村井達哉
弦楽器工房に勤務の合間、趣味の焙煎を繰り返すうちにコーヒーの道へ。焙煎豆のインターネット販売および卸販売を2010年にスタート。現在は焙煎豆の卸売りを中心に活動。ショップインやワークショップなど、ポップアップも行う。豆は卸売りのほか、イベント直売やネット販売も。
▶[開業] 2010年9月
▶[活動形態]焙煎豆卸売、抽出技術レッスン、コラボイベント、ショップインショップ
▶村井さんにとっての「コーヒー」とは?
地球規模のカルチャーの潮流とスタイルもとても素敵ですが、コーヒーそのものが身体に作用のある強い飲み物です。
食卓に上がる素敵なものの1つ
鎌倉の日本酒バー「祖餐(そさん)」石井英史さんは、すっと寄り添う村井さんのコーヒーに惚れ、彼と客と石井さんで1つの食卓を囲む会を2度開いた。ここから生まれる豊かな繋がりは石井さんの喜びだ。東京・吉祥寺のビストロ「ビアンカーラ」小平向典さんの「軒先バルシェ」には村井さんのミニスタンドが出る。ポートランドで見た、農とともにある街の景色に刺激を受けてミニマルシェを開いた小平さん。「マルシェは食卓に一番近い場で野菜もコーヒーも日常の食卓に上るもの。マルシェのある街の景色に、村井さんのコーヒーは寄り添います」
村井さんは「時にはコーヒーが主体とならない場所で、飲み手と触れ合うことは、焙煎の仕立てを深める上で大切」と話す。1杯の味わいを内へ突き詰めていくことで、周りが有機的に繋がり、豊かに外に広がっていく。村井さんのコーヒーはそんな可能性も示唆してくれる。
◎ホノ・ローステリア HONO ROASTERIA
http://www.honojapan.com/
(雑誌『料理通信』2016年12月号掲載)
購入はこちら
関連リンク