おいしいパルマハムの極意
素材と向き合う料理人が語るパルマハムとすしの共通項 vol.2
2019.10.04
text by Rieko Seto / photographs by Hide Urabe
連載:おいしいパルマハムの極意
イタリア料理人×すし職人 夢のコラボレーション握り
パルマハム(外モモ)×牡丹エビの握り
いずれもトロッと甘味が強い、牡丹エビとパルマハムの外モモの相乗効果を楽しむ握り。エビのインパクトに負けないよう、酢飯とエビの間にもパルマハムの外モモを少量挟んでいる。
牡丹エビはアルカリ水で洗い、酸性水につけてから、水と醤油の地につけて冷蔵庫へ。毎日地を変えて、4日目に殻をむき、半分に開く。熱湯に4秒落とし、おか上げで冷ます。
パルマハム(内モモ)×白イカの握り
パルマハムは脂身が少ない内モモを選び、酢飯と、細切りにした白イカの間に挟んで握る。白イカの甘味とやわらさを、追いかけて現れるパルマハムの旨味が引き立て、力強い余韻を残す。
白イカは塩水で洗ってペーパーで包み、冷蔵庫で1日置く。翌日皮を1枚剥いて、再び塩水で洗い~を3日間繰り返す。4日目以降のイカを、まず横に10枚極薄い削ぎ切りにしてから縦に細切りする。
寝かせて甘味を引き出した魚とパルマハムの相乗効果
高橋 木村さんの店に行くようになって、誰が、どんな風に扱っている食材かが見えるとその食材の価値が上がると実感して、僕がパルマハムを扱う手元がいやでもお客さんの目に映る店を作りたいと移転したんです。
木村 すし屋でカウンターを挟んでお客さんと向き合う距離感に近いよね。
高橋 ここならパルマのファストフードでありソウルフードであるトルタフリッタも目の前で揚げて、パルマハムを切りたてでのせて提供できる。
木村 じゃあ日本のファストフードでありソウルフードであるすしで、それをやったらどうだろうとパルマハムと熟成鮨をコラボさせたわけだけど、もう、ワクワクしかない!パルマハムをただ酢飯で握るってことでなく、調味料みたいに旨味を足すとか、アクセントに入れたらどうなるか、いろいろ試して。
高橋 そうそう、それで、エビは甘味が強いから闘わせるためにパルマハムを上にのせて、イカは風味がやさしいから後から旨味で支えられるよう、間に挟もうと。
木村 ちゃんと熟成して甘味を引き出した魚だから、パルマハムの旨味とバランスが取れる。1+1=2ではなく何倍にもなって、やる意味をすごく感じたよね。
高橋 すばらしかったです。おいしさの可能性が限りなく広がる感じでした。
イタリア料理人「ペレグリーノ」高橋隼人さん
1978年、新潟県出身。29歳で渡伊し、エミリア=ロマーニャ州パルマのリストランテで修業。帰国後、独立。2015年に移転し、6席限定で調理からサービスまで1人で行なう。
すし職人「すし㐂邑」木村康司さん
1971年、東京都出身。すし屋の3代目として生まれ、祖父や叔父の店で修業した後、天ぷら「美かさ」でも修業。33歳で現店をオープンし、独自の「熟成鮨」を切り開く
◎ ペレグリーノ
東京都渋谷区恵比寿2-3-4
www.pellegrino.jp
◎ すし 㐂邑
東京都世田谷区玉川3-21-8
www.sushikimura.tokyo
お問い合わせ先
パルマハム・インフォメーションセンター (旭エージェンシー内)
☎ 03-5574-7834
info@parmaham.org
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