【動画で極める・プロのコツ】極力触らず、2分でクイックに手ごね完了!“おつまみ”手打ちパスタ「ピチ」
2023.02.09
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photographs by Yuya Kato, Toshio Uematsu (macaroni) / movie produced by You Kuwabara , directed by Ryohei Fukuhara
連載:動画で極める・プロのコツ
料理への意欲・創造性を加速させる、『料理通信』のプロのコツ・動画付きレシピ。
プロの調理中の動きや食材の状態の変化を通じて、レシピの“味づくりのコツ” が腹落ちすると、料理の再現性やアレンジ、工夫の幅も広がります。
今回はたった2分で捏ね上げる手打ちパスタ、ピチを教わります。独立以来、ピチを作り続けて10年。学芸大学「リ・カーリカ」堤亮輔シェフの慣れた手さばきは必見です。
教えてくれたシェフ:東京・学芸大学「リ・カーリカ」堤 亮輔シェフ
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東京・学芸大学「リ・カーリカ」をはじめ都内5店舗を展開する「タバッキ」代表。伊・トスカーナで1年半修業後、調理師専門学校を経てフレンチ、ワインバー、和食店などに勤務。2013年独立。ナチュラルワインにぴったり合うイタリア料理が人気。ショップ併設レストラン「リ・カーリカ ランド」では、店で提供するナチュラルワインと自社製品も揃える。
高加水の生地を、力を入れずに捏ね上げる
子どもの頃から僕は母の作ってくれるトマトソースのパスタが大好きでね。今でも世界一おいしいと思っているマンマの味(笑)。このトマトソースをいかにたくさん食べられるかを追求していったら、太麺のピチが最高じゃないかと思ったんです。
ピチは修業先の伊・トスカーナ州の郷土料理。うどんみたいでしょう。でもほんと、日本人にとってのうどんのように、カジュアルに味わってほしいパスタ。ニンニクを利かせて、煮詰めたトマトソースをピチに絡めた「ピチ・アリオーネ」は、独立当初からうちのスペシャリテです。今ではECで冷凍での販売もしています。
僕らのピチの最大の特徴は、モチッとしつつも心地よい歯切れの良さ。ソースと同じタイミングで喉を通るやわらかな食感です。ピチは家庭料理だから生地の配合や練り方はさまざまだし、これが正解ってない。うちはワインを飲む店だから、つまみとして食べられるピチにしたかった。そのためにはブリブリのコシも不要。だから力強く練り上げる必要もありません。ボウルに生地の材料を合わせたら極力触らず、しばらくボウルを揺すって粉と水と油を合わせます。その後もなるべくグルテンが形成されないよう、2分以内で捏ね上げます。
捏ねる時は、体重をかけすぎず、手の力だけで捏ねる。生地をまとめて押して、まとめて押して・・・、捏ねるというよりまとめ上げていくイメージです。捏ね上がりはツヤもなく、多少ゴツゴツしているけれどそれでいい。ラップをして3時間ほど冷蔵で寝かせると生地が馴染み、ちょうどよいゆるみ具合になります。寝かせた生地は30分ほど常温に戻してからカットして、台の上で棒状に延ばして成形。理想的な生地だと転がす手の4往復位で15~20㎝に伸びます。成形後の生地は密閉袋に入れて冷凍保存もできます。
ピチに合うソースはトマトソースのほか、濃厚なチーズやミートソースもいいですね。食感が軽いので満腹でもするっと食べられる。飲み会の〆にもぴったりです。
Attention!【まずは動画で✔ ピチの捏ね方】
「ピチ」の材料と作り方
[材料(作りやすい分量)]
強力粉・・・280g
塩・・・2g
A(合わせておく)
ぬるま湯(40℃)・・・160ml
E.V.オリーブ油・・・28ml
[作り方]
[1]ボウルに材料を合わせる
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ボウルに強力粉と塩を入れて、Aを回しかける。
POINT:水分多めの配合でやわらかな食感に。
[2]ボウルをゆすって、粉に水と油を馴染ませる
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両手でボウルを円状にゆすりながら、油分と水分を粉に行きわたらせる。
[3]生地をまとめる
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生地をひとかたまりにまとめる。
[4]捏ねる
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生地の向きを変えながら、手のひらで上から押さえる、を数回繰り返す。捏ねる作業は2分以内で終える。
POINT:全身の体重はかけずに、手の力だけで生地を押さえる。軽い歯切れを目指すためになるべくグルテンの形成を抑える。
[5]捏ね上がり
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表面はまだベタつきがあり、ゴツゴツしていてツヤもない状態。ラップをして、3時間冷蔵で寝かせる。
POINT:高加水なので、多少ムラがあっても寝かせるうちに馴染む。
[6]棒状に切り分ける
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生地を冷蔵庫から取り出し、30分程常温に戻す。打ち粉をふった台に生地をおき、手のひらで平らにならず。カードで4㎝幅の生地を切り出す。さらに1㎝幅の棒状に切りわける。
[7] 成形する
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棒状の生地を手でより合わせて軽く伸ばしたら、台の上で両手を左右にスライドさせながら転がして15~20㎝まで伸ばす。伸ばしすぎるとコシが出るので3~4往復くらいで伸ばし終える。
POINT:ここでも必要以上に触らない。直径は5~8㎜程度。
[8]15分茹でる
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約200g(1~2人分)の麺の場合、1Lの湯に対して1%の塩を加えて沸騰後、15分茹でる。好みのソースに絡める。
◎リ・カーリカ ランド
東京都目黒区鷹番1-4-9 小山ハイツ1F
☎080-7279-2233
18:00~23:00(日曜、祝日は~22:00)
ショップ 14:00~22:00
火曜休
Instagram: @ ri.carica_land
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