フライパンで作る!お好み焼きワンランクアップ術
レスキューレシピ【キャベツ編】
2023.04.20
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text by Kaori Funai / photographs by Jun Kozai
連載:レスキューレシピ
日本の食品ロス量は年間570万トン*と言われています。生鮮食品においても、豊作で余ったり、規格外、傷、スレがあって売り物にならず、行き場のない食品が日々廃棄されているのです。生産者が丹精込めて作った食材を無駄にしないための食材活用レシピをシェフに教わります。今回はキャベツを使ったレシピを紹介します。
*農林水産省「日本の食品ロスの状況(令和元年度)」
目次
教えてくれた人:大阪・中之島「パセミヤ」中川善夫さん・ちえさん
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ワイン好きを虜にする、南インド料理をベースとするスパイスを使用した野菜中心のスパイス・セットに、締めにはお好み焼きや焼きそばを提供する。1965年に大阪・豊中で両親が始めたお好み焼き店を2005年、中川善夫さんが引き継ぎ、姉のちえさんと店を切り盛り。2011年西天満、2015年に中之島へ移転。
いかに「粉っぽさ」を感じさせないかがポイント!
頬張ればサクッと香ばしく、豚の旨味とキャベツの甘味が凝縮した生地は、フワッと軽やか。喉の通りがいいナチュラルなワインと好相性な「パセミヤ」のお好み焼きが、フライパンで作れるとは。中川善夫さん・ちえさん姉弟がその技を披露してくれた。
つい食べ進むお好み焼きを作るには「小麦粉を使いながら、いかに“粉っぽさを感じさせないか”がポイント」と善夫さん。使う粉は、製菓用の国産薄力粉「ファリーヌ」。製菓用は一般的な粉に比べて粒度が細かいため、なめらかな口溶けが実現する。生地を作る際、「可能であれば使う材料全てを冷やして」。また、だしと粉を、氷を当てながら混ぜ合わせることで、グルテンの発生を極力抑える。これが軽やかな食感、実現への第一歩だ。
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薄力粉の中でも、より粒度が細かい製菓用を使う。現在は、北海道産「ファリーヌ」。「必ずふるいにかけてからだしと合わせて」とちえさん。
たね作りにもコツが。「混ぜると和えるの間のイメージで」。スプーンで卵を潰しながら、まずは生地をざっくり刻むように、空気を入れながら混ぜる。生地に小さな気泡が現れたら成功だ。
いよいよフライパンへ。ガスコンロは鉄板と違い、火の当たりが均等でないので、フライパンを軽く揺すりながら加熱するとよい。緩い生地だから崩れないよう慎重に、皿を使って裏返し、蓋をして蒸し焼きに。「テコなどでペタペタいじらないのも、ふわっと仕上げる秘訣です」。揺すりながら、表面が香ばしくなるまでしっかり“焼き切る”。粉っぽさを感じず繊細な質感が実現する秘訣だ。
「お好み焼き 豚玉」材料と作り方
[材料](直径20cm×1枚分)
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<基本の生地>
野菜だし※・・・25ml
薄力粉・・・25g
ベーキングパウダー・・・小さじ1
山芋(すりおろす)・・・小さじ1
<具>
豚バラ薄切り肉・・・40g
キャベツ・・・180g
卵・・・2個
天かす、紅ショウガ・・・各少量
サラダ油・・・大さじ2
お好み焼きソース、削り節、青海苔・・・各適量
※野菜だしの作り方
[材料](作りやすい分量)
昆布・・・6cm四方
水・・・1L
タマネギ(スライス)・・・大1個
ニンジン(イチョウ切り)・・・大1本
マッシュルーム(スライス)・・・3個
長ネギ(4等分)・・・1/2本
<材料A>(煮出し袋に入れる)
ニンニク(半切り)・・・1片分
ショウガ(スライス)・・・1枚
ローリエ・・・1枚
タイム(パウダー)・・・ひとつまみ
[作り方]
[1]鍋に昆布と水を入れ、冷蔵庫で一晩置く。
[2]1を弱火で熱し、水面がゆらゆらしてきたら昆布を取り出す。
[3]2に野菜類、材料Aを入れ、蓋をして沸騰しない温度を保ち弱火で1時間熱する。
[4]中火にし、ひと煮立ちさせたら火を止め、粗熱を取ってからザルで漉し、冷蔵庫で冷やす。
[作り方]
[1]基本の生地を作る
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氷を当てた鍋にだしを張る。
POINT:氷で冷やし、グルテンの形成を抑える
[2]粉をふるい入れる
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薄力粉を数回に分けてふるい入れ、泡立て器で混ぜる。薄力粉が混ざったら、ベーキングパウダーを加え、泡立て器で混ぜる。
[3]山芋を加える
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ゆるいソフトクリームくらいの質感になれば、山芋をすりおろし、混ぜる。
[4]たねを作る
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キャベツを切る。上下で分け、葉がやわらかい上部は粗みじん切り、下部の硬い葉や芯は細かいみじん切りに。
[5]ボウルに生地と具材を入れる
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ボウルにキャベツ、生地、天かす、紅ショウガ、卵を入れる。
POINT:全ての材料をよく冷やす
[6]刻むように混ぜる
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卵を潰しながら、スプーンで空気を入れるようにして縦に刻むように混ぜる。
POINT:小さい泡が出るまでさっくり混ぜる
[7]フライパンで焼く
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フライパンにサラダ油(大さじ1)を引き、中火で熱する。豚バラ肉を並べて炒め、半分火が入ったらたねを上に流し入れる。
[8]揺すりながら焼く
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蓋をせず中弱火で約5分、ムラが出ないようフライパンを揺すりながら熱する。
POINT:最初蓋をしない
[9]周囲が色付く
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生地の周囲が色付いてきたら裏返す。
[10]皿に移して裏返す
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一度皿に移してからフライパンに戻すと失敗しにくい。
[11]蓋をして蒸し焼き
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蓋をして約5分、弱火でゆすりながら蒸し焼きにする。
POINT:ヘラで押さえつけない
[12]再度裏返して焼く
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再度裏返し、蓋をして約5分、弱火で蒸し焼きに。表裏各2回焼く。
[13]ソースを塗る
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豚肉が香ばしくなれば裏返し、ソースを塗る。皿に盛り、青海苔、削り節、好みでマヨネーズをかける。
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重たさ皆無! 豚とキャベツ、生地とが三位一体となり、もう1枚食べたくなる軽やかさ。ソース、マヨネーズなどはお好みで。
「パセミヤ」店舗情報
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◎パセミヤ
大阪府大阪市北区中之島3-3-23-3F
☎06-6225-7464(要予約、予約は4名まで)
18:00-22:00
不定休
京阪電鉄渡辺橋駅より徒歩1分
https://pasania.osaka/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2018年12月号、2020年7月・8月合併号掲載)
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