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愛媛・宇和島へ:「愛鯛」に会いたい!

新・お魚レシピを探す旅

Mar. 6, 2017

text by Kei Sasaki / photographs by Hide Urabe


気鋭の漁師集団が育てる「愛鯛」。「スペインでも鯛はポピュラーな魚」という「レ・ストゥディ」のジョセップシェフと「愛鯛」の本場、宇和島へ旅立ちました。






UWAJIMA
「愛育フィッシュ」の里へ

穏やかな海に小さな島々が浮かぶ瀬戸内海からリアス式の海岸線が連なる宇和島まで、変化に富む美しい海は豊かな漁業資源の宝庫。全国屈指の水産県・愛媛を「レ・ストゥディ」のジョセップ・バラオナ・ビニェスシェフが視察訪問した。 愛媛は良好な漁場環境に支えられ、魚類養殖に長年力を入れてきた。呼び方も一般的な「養殖魚」ではなく、愛情込めて愛媛で育てた魚「愛育フィッシュ」と呼んでいる。今回シェフのお目当ての鯛も、特に厳しい基準を満たして育てられた「愛鯛」ブランドだ。愛鯛を育てるのは漁協の枠を超えて集まった気鋭の生産者「ネオメイト」のメンバー7人。シェフはその一人、岡山文俊さんを訪ねた。

宇和島市吉田の海は、冬の澄んだ空気の中でエメラルド色に輝く。デッキから海の中を覗き込んだシェフは「すごくきれい!」と、声を上げた。岡山さんは「リアス式海岸の影響でとても穏やかなんです。水深は30~40メートルと深く、水温も安定していて、絶好の漁場です」。「スペインでは鯛といえば、クリスマスなんです」とシェフ。内陸部にある首都マドリードではクリスマスに食べるご馳走が鯛料理。日本でも鯛は祝いの魚だが、ともに魚食文化が根付く国の、意外な共通点に一同、顔を見合わせた。

視察後は、宇和島駅近くにある和食店で郷土料理の宇和島鯛めしを堪能。鯛はもちろん、愛鯛だ。「身にもちっとした弾力と甘味があってとてもおいしい」と、シェフはご満悦。「これだけおいしい魚なら、骨からいいだしが出る。作りたい料理が見えたよ」。そう言って、短い滞在を終え、帰路についた。


リアス式海岸の漁場
愛鯛は、風波の影響を受けにくいリアス式海岸を活用して育てられる。海水交換も良く、透明度は抜群。水温も安定している。


ストレスなき生育環境
漁場に対する魚の数は、一般的な養殖の基準より約1 割少なめ。ゆったりと泳ぎ回れる環境の中で、生育期間をストレスなく過ごす。


わずか7人の生産者
質量ともに日本一の愛鯛を育てるため集結した漁師集団「ネオメイト」。発起人だった亡き父の跡を継ぎ、若き岡山さんも奮闘。


1年~1年半で出荷
約1年半で平均1.3キロ、大きいものは1.5キロに。出荷前の愛鯛を見つつ「スペインでも鯛はおめでたい日に食べるんです」と話すシェフ。


厨房まで最善の状態で
水揚げ後は活け〆にし、脱血、冷やし込みを徹底して行う。愛鯛を手にした瞬間、クオリティにかける生産者の意気込みが伝わる。


だし醤油と溶き卵で食べる地元の名物「鯛めし」でも愛鯛を味わった。






TOKYO
スペインで愛される料理を愛鯛で

愛媛で出会った愛鯛は、華やかでモダンなスペイン料理に。1品目は、サルピコン。野菜と魚介のマリネサラダだ。「近ごろスペイン人も日本食の影響で、生魚をよく食べます」とシェフ。愛鯛のフィレは、ごく軽い霜降りにして薄切りに。約10種類の野菜は彩りも大事だが、タマネギとピーマンは多めに、サツマイモは必ず入れて、辛味と甘味、さらにビネガーの酸で緩急のある味に仕上げた。

もう1品はアバンダ。スペインの“米どころ”バレンシアで愛される、米と具材を別々に調理する米料理だ。愛鯛のアラで丁寧にだしをとり、米を炊く際に使用。フィレは皮目のみをパリッと焼いて身のほうには一瞬だけ火を入れる。

「愛鯛は甘味がしっかりあるから、ビネガーや柑橘の酸、ニンニクやパプリカパウダーの辛味などを効かせるスペインの料理でも味が活きるね」とシェフは2皿の仕上がりに満足した様子。まだまだ新しい愛鯛レシピが生まれそうだ。




RECIPE1:愛鯛のサルピコン
「魚に火を入れるのが、セビーチェやカルパッチョとの違い」とシェフ。わずかに火が入ることで愛鯛の甘味はさらに凝縮。野菜に負けぬ食感も、酸が基調の味わいにリズムを生む。

◎材料(1皿分)
愛鯛(フィレ)……80g
塩、白コショウ…各適量
マリネ液
E.V.オリーブ油……適量
白ワインビネガー……適量
マルドンの塩……少量

<野菜(すべて4~5mm角に切る)>
ダイコン……5g
セロリ……3g
ピーマン(赤・橙・黄)……20g
赤タマネギ(水にさらし水気を切ったもの)……10g
紫ニンジン……10g
ズッキーニ(茹でたもの)……5g
サツマイモ(茹でたもの)……10g
ケイパー(小粒)……8粒
オリーブ……8g

<ハーブ>
セルフィーユ……適量
コリアンダー……適量
ディル……適量
シブレット……適量

<バジルマヨネーズソース>
マヨネーズ……100g
ニンニク(素揚げ)……1片
松の実(素揚げ)……15~20粒
バジル*……3パック分
E.V.オリーブ油……少量
*バジルは1秒だけ湯通しして水にすぐ浸けて色止めすると、変色しにくい。
マヨネーズ以外の材料をミキサーで滑らかになるまで回し、最後にマヨネーズと混ぜ合わせる。

◎作り方
1 鍋に湯を沸かし塩(分量外)をやや多めに入れ、愛鯛のフィレを入れて身が厚い場合は12~15秒、薄い場合は7~8秒で取り出し、すぐ氷水に浸ける。ペーパータオルで水気を取り、1cmの厚さに切る。
2 1の愛鯛に塩、白コショウを振り、E.V.オリーブ油と白ワインビネガーを6:1で合わせたものと和える。
3 4~5mm角に切った野菜をすべてボウルに入れて混ぜ合わせる。E.V.オリーブ油と白ワインビネガーを6:1で合わせたもので和える。
4 皿にバジルマヨネーズを4か所ほどに少量ずつ絞り出し、半量の野菜を薄く敷く。愛鯛をのせて、上に残りの野菜とハーブを盛り付ける。魚のマリネに使ったオイルを仕上げに回しかける。

POINT:
野菜は赤タマネギとピーマンをやや多めに、甘味を出すさつまいもを入れれば、あとは好みでよい。愛鯛を霜降りにすることで、さっと和えるだけでマリネ液がしっかり馴染む。隠し味のバジルマヨネーズの裏技も必見。




RECIPE2:愛鯛のアバンダ
フィレのソテーはしっとりした身の甘さと皮目の香ばしさのコントラストがエレガント。一方、アラのだしで炊いた米には愛鯛の力強い滋味が溢れる。ニンニクマヨネーズがまとめ役に。

◎材料(3~4人分)
愛鯛(フィレ)……80g
米……100g
塩……適量

<鯛のスープ>
愛鯛の頭……1尾分
ワタリガニ……1尾(200g)
ニンニク……1片
タマネギ……小1個
ニンジン……1本
セロリ……15cm分
ベイリーフ……1枚
E.V.オリーブ油……適量
パプリカパウダー(甘口)……小さじ1
トマトソース*……大さじ1.5
サフラン……少量
水……3~4ℓ
*トマトソースはフレッシュのトマト1個に置き換えてもよい。爽やかな味わいに仕上がる。

<ソフリット>
ニンニク(みじん切り)……1片
赤唐辛子……1/6本
E.V.オリーブ油……大さじ1
赤ピーマン(みじん切り)……1/6個
タマネギ(みじん切り)……1/5個

<アイオリソース>
マヨネーズ……100g
水(または牛乳)……5~10g
ニンニクオイル……10g(ニンニクパウダー小さじ1/4でもよい)
上記をしっかり混ぜ合わせる。

◎作り方
1 鯛のアラのスープを作る。愛鯛の頭と骨は掃除はきれいに掃除する。ワタリガニは適当な大きさにカットして170~180℃のオーブンで30分ローストする。
2 大きめの鍋に薄くE.V.オリーブ油をひき、ニンニクとざく切りにしたタマネギ、ニンジン、セロリをゆっくり炒める。
3 野菜に色が付いたらトマトソース、パプリカパウダー、サフラン、ベイリーフを加えて軽く炒め、魚のアラとワタリガニ、水を加える。最初は強火で、沸騰したら中火におとして、アクを引きながら40分程煮る(油はとらないようにする)。冷ましてからシノワで漉す。
POINT パプリカパウダーは焦がさないようにする。
4 ソフリットを作る。パエリアパンにE.V.オリーブ油をひいて弱火でニンニク、細かく崩した赤唐辛子を入れて炒め、香りが立ったら赤ピーマン、タマネギを加えて弱めの中火でゆっくり炒め甘味が出るまで炒める。
5 米と鯛のスープ400mlを加えて強火にかける。沸いたら塩で味を決め、220℃のオーブンで炊き上げる。
POINT ガスとオーブンの火入れは、合計15分。
6 フライパンにE.V.オリーブ油をひいて熱し、塩と白コショウをふった愛鯛を皮を下にして入れる。魚が反り返らないよう、最初は皮の全面がフライパンに付くようヘラやおもしで押さえながら焼き、9割がた火が通ったら返して、さっと片面を焼く。
7 皿に4の愛鯛とマヨネーズソースを盛り付ける。炊き上がった米は鍋ごとサーブし、鯛の皿に取り分ける。

POINT:
大きめのパエリアパンに薄く炊く料理(今回は30cmのサイズを使用)。ガス火にかけて味を決める際、素早く作業しないと、水分が蒸発しすぎてうまく炊き上がらない原因に。分量よりも少しスープを多めに加えておくと安心だ。

ジョセップ・バラオナ・ビニェス
1966 年スペイン・カタルーニャ州・レリダ生まれ。1991年に来日。完全予約制の自身のレストランのほかにケータリング、モダン・カタラン・スパニッシュ「ビキニ」プロデュース、バルセロナにあるレストランの料理監修を行うなど幅広く活動中。

◎レ・ストゥディ
東京都千代田区内幸町2-2-2
富国生命ビル B2F
☎ 03-3597-0312
完全予約制
都営線内幸町駅直結







   Column-愛媛のお宝食材NEWS
   幻の魚「スマ」の養殖に成功!




「ヤイト」とも呼ばれる幻の魚・スマ。市場に出回らない稀少な高級魚で、全身トロといわれるほど脂のりが抜群だ。愛媛県はこのスマの養殖に成功し、2016 年1月に日本で初めて出荷販売を実現した。黒潮の影響で海水交換も良く、抜群の透明度を誇る漁場で育つスマは、船上で活〆に。2.5kg以上で姿形も良く、脂質含有量25%以上の上物は「伊予の媛貴海(ひめたかみ)」というブランドで出荷。和洋の料理人からは早くも羨望の食材として注目を集めている。







[お問い合わせ先]
愛媛県漁業協同組合連合会 宇和島支部
愛媛県宇和島市築地町2丁目6-23
☎ 0895-22-5225
u-eigyou@ehimegyoren.or.jp
























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