海水にくぐらせる⁉伊・プーリア州の長期保存パン「フリッセレ」
フェーズフリーな食材レシピ:小麦粉
2023.02.16

photographs by Tsunenori Yamashita
乾物や漬物など、常温で長期保存でき、ビタミンやミネラルなど栄養価も高い食材は、備蓄食品にも向く優れもの。普段から食事に取り入れ、使い慣れることで、「いざという時に賞味期限が切れていた」「食べ慣れない味で食が進まない」という問題も避けられます。「いつも」と「もしも」をつなぐフェーズフリー*な食材を、おいしく活用するレシピ。今回は、イタリアで古くから保存食として食べられていた伝統パンの作り方を紹介します。
常備したい食材:小麦粉
教えてくれたシェフ:東京・江戸川橋「フォカッチェリア アルタムーラ」山本誠さん

フォカッチャとイタリア惣菜の店「フォカッチェリア アルタムーラ」店主。神奈川県生まれ。19歳で料理の世界に入り、都内のフランス料理店に6年勤める。25歳でイタリア・プーリア州へ渡り、「プリエーゼ」など4軒のレストランで1年修業。その後、同州バーリで“パンの街”と呼ばれるアルタムーラの「レ・バゲッテ」でパン作りを学ぶ。帰国後3軒の店でシェフを務め、2013年3月に独立開業。
二度焼きで長期保存が可能に
「フリッセレ(Friselle)」は、イタリア南部プーリア州に伝わる、二度焼きして長期保存ができるパン。紐を通して旅に携帯できるよう形状が輪になったものもあり、“十字軍のパン”とも呼ばれる。
食べるときは、硬いパンをさっと水にくぐらせて湿らせ、トマトをこすりつけ、オリーブオイルをかけてハーブを添える。水の代わりに海水で戻すレシピもある。
“十字軍のパン”「フリッセレ」材料と作り方
[材料]
![[材料]](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2023/02/phasefree_recipe_18_friselle_03.jpg)
全粒粉・・・250g
セモリナ粉・・・250g
リエビト(生イースト)・・・20g
塩・・・10g
水・・・300ml
[作り方]
[1] こねる
ボウルにすべての材料を入れ、10分くらい手でこねる。
[2]生地を寝かす

生地を丸くまとめ、常温で30分間寝かす。
[3] 分割する

生地を1個40gに分割する。
[4]棒状に伸ばす

手のひらを使って生地を棒状(12㎝程度)に伸ばす。
[5]輪にする

両端をつなげて輪を作り、つなぎ目を親指で押して留める。
[6]天板に並べる

天板に間隔をあけて並べる。
[7]発酵させる

温かいところで15分くらい発酵させる。
[8]焼成1回目

200℃に温めたオーブンに入れ、約30分間、黄金色になるまで焼く。
POINT: 1回目の焼成
[9]粗熱をとる

天板から取り出し、粗熱をとる
[10]半分に切る

温かいうちに半分に切る。
[11]焼成2回目

スライスした面を上にして天板に並べ、200℃のオーブンで約20分、こんがりと焼く。
POINT:2回目の焼成
[12]乾燥させる

オーブンから取り出し、冷ます。半日くらい乾燥させて完成。
POINT:この状態で長期保存可能
<フリッセレの食べ方>
![[1] フリッセレを水に数秒浸す。](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2023/02/phasefree_recipe_18_friselle_15.jpg)
[1] フリッセレを水に数秒浸す。
![[2] ペーパーで水を切る。](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2023/02/phasefree_recipe_18_friselle_16.jpg)
[2] ペーパーで水を切る。
![[3] トマトを表面にこすりつけてのせる。ルッコラ(バジルでも可)を飾り、塩をふり、オリーブオイルを回しかける。](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2023/02/phasefree_recipe_18_friselle_17.jpg)
[3] トマトを表面にこすりつけてのせる。ルッコラ(バジルでも可)を飾り、塩をふり、オリーブオイルを回しかける。

水、トマトの水分を含み、カチカチに硬いパンが程よくやわらかく。携行食にもなるので、アウトドアでも活躍しそう。

◎フォカッチェリア アルタムーラ
東京都新宿区山吹町5番地
スリアン神楽坂1F
☎03-6265-3842
10:00~17:00(月、火曜)
10:00~21:00(水~土曜)
日曜休
東京メトロ江戸川橋駅より徒歩8分
https://www.altamura.jp/
*フェーズフリー(Phase Free)は、防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏が2014年に提唱した考え方。
(雑誌『料理通信』2014年4月号掲載)
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