デジタルを完全にシャットアウトして、味わう食事の味は? オフライン料理教室が人気
Germany [Berlin]
2026.03.23
text by Hideko Kawachi / photographs by Feinschnabel
デジタルデバイスから解き放たれ、チームで料理を作った後には試食タイム。みんなで囲む食卓には、華やかな色を取り入れて。
意外なようだが、ドイツのインターネット利用時間は非常に長い。仕事で使っている人も多いとはいえ、1週間の平均が72時間、18〜39歳だと86時間というからすごい*。2025年に行われた自由時間の過ごし方のアンケートによれば、断トツ1位はネットサーフィン。特に減少傾向にあるのは、人との出会いだ。友達や隣人、家族と顔を合わせて言葉を交わす機会は、15年間で激減しているという。
強制的にでもネットから離れて過ごす時間が欲しいという人は増えているようで、近年、デジタルデバイスを預けて別のことをする“オフライン”イベントが数多く企画されている。カフェなどに集まり、個々に読書をする「サイレント・リーディング・レイブ」や、映画館で集まって映画を見ながら編み物をする「クラフト・クラブ」、個々に静かに好きなことをする「オフライン・クラブ」など、その内容は様々だ。無理に交流を強制するわけではない、緩やかなつながりが心地よい。
料理教室でも、デジタルデトックスを組み合わせたものが登場している。
「スマホを手にしていなくても、メッセージがあればいつでもレスポンスが可能な“待機モード”の精神状態になっている人は多い。完全にデジタルをシャットアウトした状態にすれば、五感に集中して、料理や食事に純粋に没頭できる」
と言うのは、ミュンヘンでオフライン・ディナー料理教室「ファインシュナーベル・コッホラウム(Feinschnabel Kochraum)」 を開催するヴァレリー・ランツェンスベルガーさん。5時間で旬の野菜を使った3皿の料理を作って味わうコースを提案し、好評を得ているという。
ハーブを刻むリズミカルな音と、鮮烈な香り。フライパンで弾ける油の音――。食卓を準備して、乾杯を待つまでの高揚感。完全にオフラインの状態なら、本当の意味で「味わう」ことが可能になると、ヴァレリーさんは強調する。
他人の動きに敏感になるため、最近は企業のチームビルディングにも活用されているという大人数での調理。料理の味はもちろん、一緒に料理をする人の人となりを、より深く知ることができると、コミュニティセンターなどでもちらほら企画されている。自宅でもネットに繋がず、オフラインで使えるデジタルの料理本や、ダウンロード可能なアプリも人気があるようだ。
◎Feinschnabel Kochraum
https://www.kochraum.de/angebote/offline-dinner-kochkurs/
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