Vini Alto Adige こんな気分で飲みたい!アルト・アディジェのワイン
1970.01.01
text by Kaori Shibata / photographs by Hide Urabe、Kouichi Takizawa
ラテンとゲルマンのいいとこ取りとも言われるアルト・アディジェのワイン。ミネラル豊富なきれいな味わいの白や、強すぎない癒しの赤が、ワインのプロたちをじわじわと魅了しています。
白も赤も、フレッシュ、エレガント、クリーン!
アルト・アディジェ地方は、イタリアが好きな方でも、まだまだ馴染みの少ない場所だと思います。まずは、どんなところなのでしょう。イタリアワインをこよなく愛し、知識も豊富なワインショップ「ラ・カンティーナ ベッショ」別所正浩さんと、レストラン「ロッツォシチリア」阿部努さんにお話を伺いました。
別所正浩さん(以下別所): イタリアというより、ドイツ、オーストリアですね。地方名の表示では、必ずシュッド・チロル(南チロル)と併記されているのですが、オーストリア領だった歴史があり、人、土地、建物の雰囲気もイタリアとは違います。言葉も公用語はドイツ語。以前、うちの店にアルト・アディジェの生産者がイタリア語の通訳の方といらっしゃったのですが、これってイタリア語で何ていうんだっけ? と言っていた生産者のことを思い出します。
阿部さんのお店では、シチリア産以外のワインもラインナップされているのですか?
阿部努さん(以下阿部): メインはシチリア産ワインです。実は、シチリア産以外で、次に出すことが多いのが、アルト・アディジェのワインです。日本人のお客様ってスッキリした白ってと注文されることが多い
別所: スッキリって、旨味が多すぎなくてキレのある感じね。
阿部: スッキリした白ワインをリクエストされて、誰もが「これですね!」と納得されるのがアルト・アディジェなんです。
別所: アルト・アディジェはスイス、オーストリアのアルプス山脈と国境を接しているから、寒くて酸が立っているイメージがあるけれど、実は日照が年間300日もある。南側のガルダ湖、地中海からは、温かい風が吹き上げます。標高が高くて気温差が大きく、これがぶどう畑に多彩なミクロクリマをもたらすんですね。ワインを造るには、理想的な気候です。小さい地域ながら、土壌も複雑です。
とても恵まれた立地ということですね。
別所: 塩梅(バランス)がいい。ラテン系とゲルマン系のいいところ取りです。酸もあるけど、きつくなりすぎずにバランスあるワインになるのがアルト・アディジェです。
阿部: 奇跡的な場所ですよね。まだ産地的にはメジャーでないので、お値ごろ感がすごくある。
お店での提供価格帯は。
阿部: 5000~6000円辺りでしょうかね。
この地方は、土着品種、国際品種共に様々なぶどう品種のワインが造られていますね。品種的に料理と合わせやすいものは、ありますか?
阿部: まずはピノ・ビアンコじゃないでしょうか。少し柑橘系のニュアンス、華やかさもあり、ミネラリーでアフターがきれい。誰がどう飲んでもおいしい。
別所: 僕は、イタリアワインを知らない店にこそお勧めできるのが、アルト・アディジェのワインだと思います。アルト・アディジェって、個人生産者のワイナリーの他に大きな協同組合が12あり、こちらが生産量の7割を占めています。しかも、どこもレベルが高い。バランスの良さに加えて、そうした全体的な品質の高さ、ブレの少なさも、ワインとしての使い勝手の良さを支えている。
その辺りイタリアとオーストラリアの間という、歴史や文化背景を感じます。
別所: オーストリアほど硬くなくイタリアほどゆるくない。やっぱり塩梅よしです。
阿部: ピノ・ビアンコ以外だと、ゲヴルツトラミナーも意外に万能です。中華とは特に相性がいい。華やかだけれど、ハーブ香やミネラル感もある。ピンポイントでなく面で合わせられます。和食店ならピノ・グリージョもいいんじゃないかな。大吟醸の日本酒的な感じがあります。
別所: 白品種の話ばかりになったけど、言っていい? 僕が推したいのは、赤の土着品種のスキアーヴァ。なんていうのかな、癒されるわけですよ。アルト・アディジェのピノ・ネーロ(ピノ・ノワール)も素晴らしい、ラグレインは強い料理にいい。でも、スキアーヴァはタンニンが少なくて優しい。この癒し感が特長で、だしでも、焼き物でも、天ぷらでも、和食にも合わせられる赤です。まだまだ知名度は低いが、すごくお勧めしたいんです。
愛を感じますね。
別所: 僕のお店にくるお客様には、積極的にスキアーヴァをお勧めしています。
最後に、この季節にお勧めの合わせ方を教えてください。
阿部: 香味野菜系のサラダにアルト・アディジェのゲヴルツトラミナー、あるいはピノ・ビアンコ。ハモにピノ・ビアンコも良いかと。
別所: 赤ならウナギとスキアーヴァ(笑)。アルト・アディジェのワインは、赤も白も、フレッシュ、エレガント、クリーン。難しく考えなくても外しませんから、安心して色々な料理と楽しめますよ。
◎ ラ・カンティーナ・ベッショ
東京都渋谷区神宮前2-25-5
☎ 03-3401-1991
15:00~21:30(土曜13:00~)日曜、祝日休
東京メトロ北参道駅より徒歩7分
アルト・アディジェ・ワイン フェア開催
夏に楽しむアルト・アディジェ・ワイン
日頃からアルト・アディジェ・ワインを導入している5店のシェフたちが作るアルト・アディジェ・ワインに合わせた夏のメニューを紹介します。8/6~9/5までご紹介した料理とアルト・アディジェのワインが各店舗で1か月間メニューオンされます。その魅力を体験してみてください!
また、アルトアディジェワイン レストランキャンペーン
(主催:アルト・アディジェ・ワイン委員会(Consortium of Alto Adige Wines))を全国45店舗で同時開催。
ロッツォ・シチリア @東京・白金
アルト・アディジェの白ワインと合わせたい
Alto Adige Pinot Bianco DOC 2016 Hofstätter × 「パクチーとセリ、マッシュルームとクルミのサラダ」
個性的な香りのハーブ系野菜をミックスして、レモンと白ワインビネガー、オリーブ油、塩のシンプルなドレッシングで和えたサラダは、スッキリした白にピタリとフィット。生のキノコとクルミがアクセントに。
<メニューオンされる銘柄>
Alto Adige Pinot Bianco DOC 2016 Hofstätter
ホフスタッター/ピノ・ビアンコ2016
Alto Adige Gewűrztraminer DOC 2017 Cantina Tramin
トラミン/ゲヴルツトラミナー2017
◎ ロッツォ・シチリア
東京都港区白金1-1-12
☎ 03-5447-1955
18:00~23:00LO 日曜休(月曜が祝日の場合は連休)
予算8000円~
都営線白金高輪駅より徒歩10分
和創作 太(た) @東京・目黒
上質なミネラル感が和食にマッチ
Alto Adige Chardonnay DOC Nals Margreid 2015 × 甘鯛のうろこ揚げ からすみがけ
アルト・アディジェのワインはミネラル感があり、和食にも合わせやすいと思います。最近は綺麗な白ワインを飲みたいという人が多く、樽感はないのにしっかりした味わいのアルト・アディジェ・ワインは、そういった需要にもぴったりですね。価格帯も料理とバランスが良く出しやすい上、造りが丁寧なのも気に入っています。アマダイはうろこ揚げで食感にメリハリを。夏らしいトウモロコシのかき揚げを添え、全体に淡い色合いの一皿に仕上げました。
<メニューオンされる銘柄>
Alto Adige Chardonnay DOC 2015 Nals Margreid
ナルス・マルグライド/シャルドネ2015
Alto Adige Pinot Bianco DOC 2015 Nals Margreid
ナルス・マルグライド/ピノビアンコ2015
◎ 和創作 太(た)
東京都品川区上大崎2-26-5
☎ 03-3779-0002
18:00~翌1:00(土曜 17:00~) 日曜休
おまかせコース5500~6000円のみ
JR、東急線目黒駅より徒歩1分
三輪亭 @東京・豪徳寺
地元のマンマの味と
Alto Adige Valle Isarco Müller-Thurgau DOC 2016 Abbazia di Novacella × そば粉のカネーデルリ サラダ仕立て
南チロル料理専門店なので、60種以上のアルト・アディジェ・ワインを扱っています。すっきりしたクリアな味わいのものが多く、ブドウのいい香りがするのも特徴です。今回は、冷やした白ワインに合わせてアルト・アディジェで教わったシェフのマンマの味を。セロリやキャベツ、ネギをふんだんに入れたそば粉の団子を蒸し、冷やしてサラダ仕立てにしています。夏に山岳地帯のテラスで飲む涼しげなシチュエーションをイメージしました。
<メニューオンされる銘柄>
Alto Adige Valle Isarco Pino Grigio DOC 2016 Cantina Valle Isarco
ヴァレ・イザルコ/ピノ・グリージョ2016
Alto Adige Valle Isarco Müller-Thurgau DOC 2016 Abbazia di Novacella
アバツィア・ディ・ノヴァチェッラ/ミュラー・トゥルガウ2014
◎ 三輪亭
世田谷区豪徳寺1-13-15
☎ 03-3428-0522
11:30~14:00LO/18:00~21:00 LO 水曜休、他不定休有
コース夜3900円~ アラカルト有
小田急線豪徳寺駅より徒歩4分
メログラーノ @東京・広尾
クラシックな味わい
Alto Adige Pinot Nero Riserva DOC Monticol 2014 Cantina Terlano × 仏・ウズラのリゾット 泡立てたスーゴのソース 夏トリュフ風味
店ではイタリアワインを提供していますが、その中でもバランスのよいアルト・アディジェ・ワインはフランスのワインを飲み慣れている人にも勧めやすいと感じています。また、程よい熟成感で夏でも飲みやすい赤ワインが多く、ロゼのように少し冷やして提供することも。軽い味わいで、魚や比較的淡白な肉料理に合います。ピノ・ノワールには、骨からしっかりだしをとったソースやトリュフなどでクラシックに仕上げた料理がいいバランスです。
<メニューオンされる銘柄>
Alto Adige Pinot Nero Riserva DOC Monticol 2014 Cantina Terlano
カンティーナ・テルラーノ/ピノ・ネーロ2014
Alto Adige Bianco DOC Stoan 2016 Cantina Tramin
カンティーナ・トラミン/ストアン2016(シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン他)
◎ メログラーノ
東京都渋谷区広尾5-1-30
☎ 03-6459-3625
12:00~13:30LO(土曜、祝日のみ)18:00~23:00LO 日曜休
コース6500円~ アラカルト有
東京メトロ広尾駅より徒歩4分
リストランテ み空 @ 東京・表参道
濃厚なウニのコク×すっきり白
Alto Adige Pinot Bianco DOC Lepus 2016 Franz Haas × ウニとアオリイカの冷製 イカスミのタヤリン
アルト・アディジェのワインは、上質なミネラルと果実感のバランスがいいですね。白ワインは日本の四季に馴染みやすく、特に湿度の高い夏にはぴったり。赤ワインも軽やかで、昼からでも気軽に楽しめるようなものが多いです。夏が旬の濃厚なウニと、イカのねっとりした味わいに負けないよう、イカスミのタヤリンは自家製を用意。キリッとしたアルト・アディジェの白ワインとの相性も抜群です。
<メニューオンされる銘柄>
Alto Adige Pinot Bianco DOC Lepus 2016 Franz Haas
フランツ・ハース/レプス ピノ・ビアンコ2016
Alto Adige Schiava DOC Breitbacher 2015 Castelfeder
カステルフェルダー/ヴェルナッシュ、スキアーヴァ2015
◎ リストランテ み空
東京都港区南青山3-10-38 #2
☎ 03-3479-3700
12:00~14:30(土曜13:00~15:00)/18:00~23:00(土曜~22:30)日曜、月曜、祝日休
コース昼1800円~、夜6000円~
東京メトロ表参道駅より徒歩3分
◎ Alto Adige Wines レストラン・キャンペーン
主催:アルト・アディジェ・ワイン委員会(Consortium of Alto Adige Wines)
2018年8月6日~2018年9月30日まで全国45店舗の飲食店でアルト・アディジェ・ワインをグラスで楽しめるフェアを開催。詳細はコチラから