テタンジェと祝う、食の歓び
「本物のガストロノミー体験は、人生を変えるほどのものだから」
東京・表参道「エラン」信太竜馬シェフ
2022.05.30
【PROMOTION】
text by Noriko Horikoshi / photographs by Masahiro Goda
「人生に会食は欠かせない」
コロナ禍で人との触れ合いを制限されて私たちが気づいたのは、「外食の価値」ではないでしょうか?
長年、国際料理コンクールをサポートし、若手料理人の成長を後押ししてきた「テタンジェ」のプレステージ・シャンパーニュと共に、人生に欠かせない大切な時間を生むプロたちをフィーチャーします。
グランメゾンの世界観を体現するガストロノミーの新機軸
普段着の飲食にはない、会食としての華やぎ。非日常の時空に身を置く高揚。未知の味覚と出会い、五感を刺激される悦び。そして、通奏低音のように控えめながら、王道を外さないエレガンス。2020年1月、表参道の商業ビル「GYRE(ジャイル)」に誕生した「élan(エラン)」は、そんなグランメゾンの世界観を軽やかに体現するガストロノミーレストランです。
オーナーシェフの信太竜馬(しだ りょうま)さんは、33歳の若さにして、フランスの「トロワグロ」「オテル・ド・クリヨン」、国内では「ロオジエ」など、いずれも指折りの一流メゾンばかりで研鑽を積み、後にはミシュラン二ツ星レストランとなる「エスキス」でスーシェフを務めた実力とキャリアの持ち主。さぞかし英才教育の誇れも高きと思いきや、「まったく。大人になるまで、フレンチの経験値はゼロでした」と意外な一言が。「子供の頃の“ハレ”の料理といえば、お鮨か中華料理。食べたことがあったのは洋食屋さんのビーフシチューくらいです」と、屈託のない笑顔で答えます。
「料理の専門学校に進み、勉強のためにと生まれて初めて行ったフレンチレストランが、シャトー ジョエル・ロブションでした。料理とワインが素晴らしいのは言うまでもなく、器の美しさ、サービスの洗練されていること、流れている時間の心地よさ、何もかもが想像を超えていて。とにかくカッコいい!と衝撃を受けたのを覚えています」
フレンチの古典の系譜を継ぐ料理を、熟成シャンパーニュと味わう喜び
信太シェフを感激させた“オーセンティックであること”の凄みは、10余年の時を経て生まれた「élan」の空間とテーブルに再現されています。
たとえば、マジックアワーの空が茜色から紺青に変わる頃、一杯のシャンパーニュとともに幕を開けるディナータイム。ある夜のシェフのおまかせコースは、ほろほろ鳥と野菜の端材の滋味を“アンチガスピヤーシュ(無駄防止)”という名のコンソメに仕立てたアミューズに始まり、素材ごとの風味と食感をさっと火入れして際立たせたサラダ、前菜はリ・ド・ヴォーと甘鯛、メインは鮑、鴨を主役に、フロマージュ、デセールへと続く全11品。
どの皿も彩りが美しく、モダンなビジュアルながら、舌に感じる繊細な火入れやソースの奥行は、フレンチの正調そのもの。“手をかける”という古典のエスプリを縦糸に、シェフの技術と感性からなる横糸を織り込み、信太流の新しいガストロノミーに昇華させているのが実感できます。
一方、シャンパーニュはアペリティフとしてだけでなく、「ワインとして完成したおいしさに魅かれる」と話す信太シェフ。
「私自身、レストランで食事をするときは、ほぼ100%シャンパーニュを欠かしません(笑)。特に食事に合わせてチョイスする機会が多いのが、コント・ド・シャンパーニュ。テタンジェのカジュアルラインよりも、私にとってなじみ深いキュヴェといえるかもしれません」
この日のコースから、とりわけ「コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブランと合わせて間違いなし」と薦められたのが、リ・ド・ヴォーとプティポワ(グリーンピース)、モリーユのソテーを、シャンパーニュの泡のソースでまとめた一皿でした。焦がしバターやブリオッシュを思わせるコント・ド・シャンパーニュの熟成感と、澄ましバターに泳がせながら丁寧に火を通したリ・ド・ヴォーのミルキーなコク、ソースのシャンパーニュフレーバーと軽快な泡立ちが三位一体の調和をなす納得のペアリング。
「ブラン・ド・ブラン(シャルドネだけで造るシャンパーニュ)は酸やミネラル感が強めで、アッサンブラージュ(複数のブドウ品種から造るシャンパーニュ)より複雑味を欠くイメージを持たれがちですが、コント・ド・シャンパーニュのような長熟タイプは別格。温度を上げて、グラスも口の広いものに変えて、クセが強めの食材や、ぎゅっと旨味の詰まったソースにあえて組ませたくなりますよね。貝にもよく合うんですよ」
いくつもの調理を同時進行で進め、フルオーケストラの調べにまとめる面白さ
シェフの言葉を裏付けるペアリングの2皿目は、コースのメインに登場する「鮑の塩釜焼き」。活き鮑を極薄の白板昆布でくるみ、さらに肉厚の真昆布で挟んだ状態で塩釜に埋めてオーブンへ。塩釜の姿でテーブルに運ばれ、焼き固まった塩を割るプレゼンテーションも楽しい一品です。
取り出した鮑は、バターとともにゆっくりと仕上げの火を入れ、昆布の濃厚な旨味を閉じ込めます。トマトの酸味とフヌイユの香りが鮮烈なソースには、昆布と同じグルタミン酸系の旨味がぎゅっと凝縮。ブラン・ド・ブランと共通する酸のインパクトを効かせつつ、食材のもつ旨味とシャンパーニュの熟成感をバランスさせた印象的なペアリングです。
ここでも、一口ごとに感じ入るのは、シンプルに見えて、この上なく精緻な手がかけられた、フレンチの真髄ともいうべき仕事ぶり。塩釜でじっくり火を通すことで、ふっくらと柔らかく、しっとりしたバターの艶も含ませた鮑の比類ない食感。低温のオーブンでじわじわと水分を枯らすように火を入れ、「フルーツトマトの栽培と同じ手法を調理で再現」したという、焼きトマトのガルニチュール。一つひとつの仕事が複層をなし、一皿の上でつながり、作品として完成する立体感は、「他の料理にはない、フランス料理ならではのダイナミズム」と信太シェフは話します。
「たとえば中華鍋一つで仕上げる中華料理に対し、フレンチでは10個以上の鍋を火にかけて、同時進行で仕上げていく。一皿に使う食材が20種類を超えることも珍しくありません。一つの工程を深く、狭く極めつつ、全体には柔軟に、かつロジカルにまとめていく面白さ。フルオーケストラを指揮する感覚に近いのかもしれませんね」
自家製パンと充実のチーズプラトーが、レストランの矜持を物語る
「élan」を特別なレストランたらしめている要素は、他にも数え上げればきりがないほど。ぽーんと天井が高い空間の開放感。キャットストリートを見晴らす夜景の美しさ。ソムリエが目の前でシェイカーを振って仕立てるカクテルもコースに含めてしまう、遊び心たっぷりのホスピタリティ。けれど、レストランとしての本質を最も雄弁に語るのは、パンの圧倒的な存在感かもしれません。
「élan」の厨房には、特注の窯やミキサー、空調完備の保管庫兼ミキシングルームなど、ベーカリー級の設備と工房スペースを完備。同じフロアにある姉妹店のビストロやカフェ用の分も含め、自店で提供するバゲット、カンパーニュ、クロワッサンなどのパンを毎日厨房で焼き、他のレストランやフランス大使館にも卸しています。
「お客様の予約に合わせて、焼きたてを召し上がっていただける時間を逆算し、焼き上げます」と信太シェフ。カンパーニュのように旨味がのるまで時間がかかるパンは、前日に焼く。フロマージュにはレーズンを練り込んだパンを、といったように、料理に合わせた焼き分けも。そこまでして自家製を貫く理由は、シンプルにして明快。
「料理をレストランの厨房でつくるのだから、同じ空間に棲む菌を生かしたパンが合わないわけがない。自分のところでパンを焼く意味は、そこにあります」
コロナ禍で営業を休止していた期間も、窯の火は落とさず、パンを焼き続けていたというエピソードからも、シェフのパンに対する強い思い入れが伝わります。
そして、チーズの充実ぶりも、また圧巻の一言。メインを終えた後、巨大なボードに約15種類ものフロマージュを並べて供されるチーズプラトーを前に、ゲストのテンションはマックスに。初めてグランメゾンを訪れたときの信太シェフの新鮮な感動が、ここにも確かに映し込まれているようです。
「本物のガストロノミーに触れる体験は、人生を変えるくらいのインパクトがあると思います。私自身が、そうでしたから。そんな驚きを多くの若い人たちにも知ってほしいし、足を運ぶからには気負いなく楽しんでいただきたい。スタッフには『ホームパーティにお招きするつもりで、温かく、親しみのこもったおもてなしを』と、いつも言い聞かせています」
◎élan(エラン)
東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE4F
☎03-6803-8670
https://www.elantokyo.com/
「テタンジェ」ブランドサイト
https://www.sapporobeer.jp/wine/taittinger/