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FEATURE / MOVEMENT

ビーフの国のワイン「テラザス」ワインメーカーの情熱

2017.06.26

text by Kei Sasaki / photographs by Kouichi Takizawa

アンデスの標高差が生んだアルゼンチンのクオリティワイン「テラザス」。ワインメーカーのゴンザーロ カラースコ氏の来日に伴い、ソムリエやワインジャーナリストのためのテイスティングイベントが、元麻布のアルゼンチン大使館で開催されました。南北に長く起伏に富んだ地形を持つアルゼンチンは、豊かな食文化の宝庫。とりわけ牛肉の消費量は世界屈指。参加者は「テラザス」のフルラインナップとあわせ、アルゼンチンを代表する牛肉料理も堪能しました。

「The BEEF Wine」と書かれたテラザスの看板が、エントランスで参加者を迎えます。


ワインと切り離すことができない
アルゼンチンの食文化

イベント当日は気温が30℃近くまで上がる夏日となりました。到着した参加者は、ウェルカムドリンクの白ワイン「レゼルヴァ トロンテス」のグラスを手に、次々とテラスへ。強い日差しが照りつけるテラスでは、テイスティングランチのためのアサードが用意され、芳しい香りを漂わせていました。アルゼンチンのバーベキュー、アサードは国の食文化を語る上で欠かせないもの。豪快に肉が焼かれる様子を写真におさめようと、代わる代わる参加者が焼き台の前に訪れます。



サーロインやイチボが塊で豪快に焼かれます。アサードの定番、チョリソも。

セミナーは、アルゼンチン大使館のイバン・ダ・ポンテによる挨拶と、アルゼンチンの食文化に関する解説からスタートしました。4200万人の人口に対し、国土は日本の約7倍以上。大西洋とアンデス山脈に挟まれた国土は、パンパと呼ばれる草原地帯、河川や丘陵地帯と起伏に富んだ地理条件に恵まれ、ジャガイモやトウモロコシ、柑橘類、オリーブとさまざまな農作物が栽培されています。地理条件に加え、文化もさまざま。旧宗主国のスペインの影響はもちろん、イタリア系、ドイツ系など多くの移民の存在が、食文化を複雑かつ多彩にしているのです。

ワインと切り離すことができないアルゼンチンの食文化についての解説も詳細に。地理条件、移民の存在から多様な文化を紐解きます。


地理気候条件を最大限に
生かしたワインづくり

続いて、ワインメーカーのゴンザーロ カラースコ氏が登壇しました。1980年生まれ、37歳のカラースコ氏、来日は初めてだといいます。

「私はワインだけでなく食も大好きで、日本の食文化にも大変興味があります」と話す言葉に、会場全体がなごやかな雰囲気になります。

1980年生まれ、メンドーサ出身のカラースコ氏。18歳でワインの世界に入り、世界中のさまざまな国でワインづくりを学んだ後、現在はテラザス デ ロス アンデスのシニアワインメーカーとして世界中を飛び回っています。

アンデス山脈の麓でワインづくりを行うテラザスは、1959年の創業時から一貫して、クオリティワインの生産に注力してきたアルゼンチンのトップワイナリーです。テラザスのテロワールをアルゼンチンの地形断面図を使って解説します。

「標高は1000メートル前後。大西洋からは1100キロメートル離れていて、太平洋からの海風はアンデス山脈がさえぎる。海の影響をまったく受けない大陸性気候です。日照量も豊富で、曇りの日は1年にわずか30日ほど。昼夜の寒暖差が大きく、夏場なら昼間は35~40℃まで上がる気温が、夜は20℃前後まで下がる。この寒暖差が、ブドウにアロマや酸、糖を蓄えるのです」


左はウェルカムドリンクとして供された「テラザス デ ロス アンデス レゼルヴァ トロンテス2016」。右が「テラザス デ ロス アンデス レゼルヴァ シャルドネ2016」。いずれも高い標高に由来するフレッシュさがあり、品種の特性もよく表れています。

恵まれた地理気候条件を最大に生かすため、ブドウは品種ごとにふさわしい標高の場所で栽培されています。プロジェクタの画面が、アンデス山麓の断面図に変わります。




「冷涼な気候を好むトロンテスは1800メートル以上、マルベックは1070メートル付近、晩熟のカベルネ ソーヴィニヨンは980メートル付近。最高のロケーションに加えて、標高へのこだわりが極上のワインづくりを可能にしているのです」

中でもマルベックは、アルゼンチンを代表するブドウ品種。
「国は1980年代後半から国を挙げてマルベックの栽培に力を入れ、現在は世界のマルベックの8割がメンドーサでつくられています。高い標高、痩せて乾燥した土壌、昼夜の寒暖差などが卓越したマルベックを育むのです」

1990年代に入ると、アルゼンチンワインは国際市場での評価も高まり、国内消費向けのバルクワインから輸出向けのボトルワインに生産がシフトしていきます。アルゼンチンワイン新時代の到来です。テラザスの誕生は、その流れを加速させたに違いありません。カラースコ氏は話します。

「ワインづくりは、ブドウづくり。最高のロケーション、標高の恩恵を生かすこと。そのために人間にできることは何かを考える。自然への介入を最小限にとどめながら……。それが、私たちの変わらない思いです」



マルベック、カベルネ ソーヴィニヨンからつくられる4アイテム。ボルドーカラーのエチケットのシングル ヴィンヤードシリーズは、テロワールをピュアに表現したテラザスワインの最高峰。試飲アイテムの中でも人気を集めていました。


洗練されたスタイルで味わう
牛肉料理とテラザスのマリアージュ

セミナー終了後、立食スタイルでワインとアルゼンチン料理を味わう昼食会に。テーブルには「ストリップロインビーフのバゲットスライス添え」や「チョリソのバゲットスライス添え」、「牛肉とオリーブのエンパナーダ」など、アルゼンチンで親しまれている料理がずらりと並びます。テーブルには牛肉料理に欠かせない、チミチュリソースも。



「テラザス デ ロス アンデス レゼルヴァ マルベック2015」は、黒い果実やプラム、スミレやバラの芳香と、ピスタチオやイチジクのアロマが複雑に広がる。アタックはシルキーで、熟したタンニンとエレガントなまろやかさがあり、良質な牛肉の雑味のない旨みとマリアージュします。

チョリソのバゲットスライス添え、牛肉とオリーブ 特製スパイスのエンパナーダほか。デザートには焼きパイナップルが供されました。

カラースコ氏も参加者のテーブルを回り、積極的に質問に答える様子も見られました。



マルベックやカベルネ ソーヴィニヨンの稀少なシングルヴィンヤードも含む全アイテムがそろうテラザスワインを自由に味わいながらとあって、参加者同士の会話にも花が咲きます。

ワイン醸造に関するテクニカルな質問のほか、多く話題に上ったのは、食事との相性について。現地で親しまれるマリアージュに関する質問に加え、「アサードの牛肉とチミチュリソース、マルベックの相性が素晴らしい」という感想も多く聞かれました。

アルゼンチンの家庭で楽しまれるアサードとはひと味違う、フィンガーフードスタイルの洗練されたアサード。そこに優しく寄り添うのは、エレガントさを合わせ持つテラザスのマルベックだからこそなのでしょう。



◎ 「テラザス」についてのお問合わせ

◎ MHDモエ ヘネシー ディアジオ株式会社
☎ 03-5217-9733
https://www.mhdkk.com/brands/terrazas/
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