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JOURNAL / JAPAN

日本[宮城・川崎町] 地域を繋ぐチーズ工房 Daily Dairy Products Yogurt 始動!   | The Cuisine Press WEB料理通信

2020.06.11

TOP写真:生乳の仕入れ先は家族で酪農を営む「蔵王あぐり」。愛情たっぷりに育てられた牛たちは、表情も豊か。工房から1分のご近所感が心強い!

日本 [宮城・川崎町]
地域を繋ぐチーズ工房

Daily Dairy Products Yogurt 始動!

Jun. 11, 2020


宮城県・川崎町で、新しいチーズ工房のプロジェクトが始まりました。
店主は、北海道で2年間研修を受けた元・牛飼い(!)の川井智子さん。そして、彼女をサポートするのは、川崎町へ移住し、人々を魅了するワインを造り続ける「ファットリア アル フィオーレ」の目黒浩敬さんです。2人がこの地でチーズ工房を作る理由とは?

TOP写真:生乳の仕入れ先は家族で酪農を営む「蔵王あぐり」。愛情たっぷりに育てられた牛たちは、表情も豊か。工房から1分のご近所感が心強い!





地域で完結できる未来を

最近、シェフたちが密かにざわついている。「アル フィオーレの目黒さんがチーズ工房を作るらしいよ」「店主の女性は、北海道で修業したんだって」と、皆そわそわ、気になるらしい。大変、すぐに話を聞きに行かなくては。

「彼女との出会いは、小林武史さんが主宰したReborn Art Festivalでした」と目黒さん。「KURKKU FIELDS」でシャルキュトリーを担当する岡田修シェフと共にスタッフの賄を作っていたのが、川井智子さんだった。その後、川井さんが目黒さんのワイナリーへ研修に訪れ、働きたいと申し出た。目黒さんは言った。「じゃあ、チーズ作らない?」

左)「ファットリア アルフィオーレ」の目黒浩敬さん。右)離島に移住し、肉牛の繁殖農家で働いたこともある川井さん。「KURKKU FIELDS」→「ファットリアアルフィオーレ」→北海道「共働学舎新得農場」→満を持して川崎町へ。

5年前に川崎町に移住して、ワイン造りを始め、妻・礼奈さんのワイナリーの立ち上げをサポートした目黒さん。ワインの次は何をするか。「今ここにある資源を無視して、新しいことを始めるのは違う」と感じた。自然に寄り添いながら地域とともに歩めるものがいい。見渡すと、周囲では酪農が栄えていた。そして、川井さんは肉牛の世話をする事業主としての経験があった。これは、きっと必然だ。

即答で頷いた川井さんは、北海道「共働学舎新得農場」で2年間修業。奥深きチーズの世界に浸かり、よもや戻らないかも……な人生の岐路を経て、今年1月、川崎町へ帰還。2人の工房づくりが始まった。「事業主はあくまで川井智子。工房は彼女が一から作り上げるもので、僕はサポートをするだけ」。工房は、ワイナリーの近くに建つが、一緒にやるのではなく、個々の生業を尊重しながら助け合い、集合体として地域のコミュニティとなるのが理想だ。



原乳を温めるコイルを銅管で手作りする目黒さんと川井さん。湯を銅管に通して優しく温度調整することでタンパク質の変性を防ぐという作戦。

現在は、川井さんを中心にチーズ作りに必要な様々なものを手作り中。乳酸菌は、牛乳から自然に起こした菌を使いたいと種継ぎを。牛乳を温める容器は、地元の木で作った桶を。モールドは、近所で伐採した竹筒で作った。子どもから大人までが構えずに楽しめるヨーグルト等も作りながら、チーズの扉を開けてもらう。ワインのテロワールのように、その土地や牛乳の素晴らしさを表現できるチーズ作りを目指す。人々が集うことを制限され、不安に押し潰されそうな環境の中で、これからの未来に繋がる活動を進める「Daily Dairy Products Yogurt」、今から楽しみだ。


チーズは、地域の杉山の木で作った桶で作る。モールド(型)も竹林から伐採した竹を使用。手に入る道具は全て地元から。

「ファットリア アル フィオーレ」のオーナー礼奈さんが書いてくれたという工房のイメージ図。

目黒浩敬さんによるWeb連載でも、この新しいチーズ工房に寄せる想いが語られています。ぜひあわせて、お楽しみください!
アルフィオーレの農場日記
第14回 コロナ禍を経て



◎ Daily Dairy Products Yogurt
宮城県柴田郡川崎町川内字大原前151-8
Instagram @dailydairyproducts_yogurt
※工房は2020年7月完成予定。活動の詳細は
Instagramにて随時更新。



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