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JOURNAL / 世界の食トレンド

ケータリング業界に新風を吹き込むミレニアル世代。食品廃棄を徹底削減

England [London]

2023.06.15

ケータリング業界に新風を吹き込むミレニアル世代。食品廃棄を徹底削減

text by Yuka Hasegawa

ホスピタリティ業界に打撃を与えてきたパンデミックもすっかり過ぎ去り、結婚式やコーポレートイベントなど、華やかな催事が英国のあちらこちらで開催されている。

ケータリング業界が以前の活気を取り戻している中、サステナブルであることを前面に掲げたイベントプランニング会社「レティス・イベント(Lettice Event)」が話題だ。パンデミック前から、地産地消、フードウェイストの削減、リサイクル/アップサイクル、リユースなどのポリシーをケータリング業界に取り入れたパイオニアとして高い評価を受けて、2020年ロンドンで開催された、「世界のベストレストラン50」のケータリングも担当した。

1995年に設立され、現在は創業者の娘であるホリー・コングトンさんがディレクターとして指揮を執る。
「父のビジネスを継ぐにあたり、ロンドン大手のケータリング会社で数年経験を積みました。そこで見たのは、イベント終了後に無残にも廃棄されていく、食べ残しや余剰料理、キッチンでの食品廃棄物。これは“改善されるべき”だと痛感したことから、我が社の企業理念の刷新を始めました」

ラグジュアリーで洗練された演出を提供することで定評があった父の経営理念を継承しつつ、ミレニアル世代であるホリーさんの様々なアイデアが導入されている。


(写真)厨房で余剰食材となった、英国東部サフォーク州産の白カビチーズとして有名なバロン・バイゴットを使ったアランチーニ(ライスコロッケ)。同社のシグニシャー的なカナッペとして人気だ。

(写真)厨房で余剰食材となった、英国東部サフォーク州産の白カビチーズとして有名なバロン・バイゴットを使ったアランチーニ(ライスコロッケ)。同社のシグニシャー的なカナッペとして人気だ。

例えば、ゼロウェイストを目指し、厨房で出る副産物をアップサイクルするカナッペを提案。2年前には、酵素と微生物を食品廃棄物に混ぜ、肥料となる水を抽出するシステムを設置した。また、廃食用油は収集してバイオディーゼル燃料に変えるエージェンシーと契約し、プラスチック削減に関しても最大限の努力をしている。
「サステナブルなことを始めたら、エンドレスですね」とホリーさん。

パーティのメイン料理といえば、“ビーフ”という固定観念を持つ英国人が多い中、ロンドンのファインダイニングレストランとのコラボによるプラントベースのオプションも提案し、大いに好評を得ているという。

(写真トップ)「レティス・イベント」が手がけた、ゴージャスなウェディング・パーティのデコレーション。英国東部、サフォーク州にある、壮大な私有地と壮麗な大邸宅で知られる「ワイルダーネス・リザーブ」が会場に。

(写真)契約農家から直送される、英国産の旬の野菜をふんだんに使ったベジタリアン対応のメニューで定評がある。ヴィーガンのオプションも注目されている。

(写真)契約農家から直送される、英国産の旬の野菜をふんだんに使ったベジタリアン対応のメニューで定評がある。ヴィーガンのオプションも注目されている。

(写真)2018年、25歳の若さでディレクターに就任し、地球コンシャスな経営理念を掲げたホリー・コングドンさん。ケータリング業界に新風を吹き込んだビジネスウーマンとしても注目されている。

(写真)2018年、25歳の若さでディレクターに就任し、地球コンシャスな経営理念を掲げたホリー・コングドンさん。ケータリング業界に新風を吹き込んだビジネスウーマンとしても注目されている。



◎Lettice Event 
https://www.letticeevents.com/

*1ポンド=173円(2023年5月時点)

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