HOME 〉

JOURNAL / 世界の食トレンド

Italy [Palermo] 少年院に開設された菓子工房がイタリアの国民栄誉賞を受賞!

Jan 12, 2023

text by Mika Hisatani / photograph by Luca Savettiere

イタリアに17ある少年院の一つ、シチリア州パレルモのマラスピーナ少年院に、2016年、出所後の社会更生を目的とする菓子工房「コッティ・イン・フラグランツァ(Cotti in Fragranza)」が開設した。小さなキッチンでは2台のオーブンがフル稼働し、すべて手作業で菓子作りが行われている。


このプロジェクトは社会的協同組合「リジェネラリザツィオーネ」による運営で、厨房の指導者には外部から迎えたパティシエのフランチェスコとシモーネ・ガンビーノ兄弟が常任し、5人の刑余者が働いている。中には組合に雇用され給与を受けている者もおり、最も若いスタッフは18歳だ。

同組合の代表ナディア・ロダトさんは「このパスティッチェリアは17の企業や団体による支援から誕生したもので、彼らの賛同と連携なしに実現はあり得ませんでした」と話す。

厨房のオーブンは全国司法士連合の寄付によるもので、パッケージは地元のグラフィックデザイン事務所が協業。料理界からはアブルッツォの三ツ星シェフ、ニコ・ロミート氏がレシピを提供し、コラボ製品を誕生させた。同シェフは2021年夏に開催されたフードフェスティバルで「料理人を目指す若者は、料理人とは社会的役割と責任のある職業であることをまず頭に叩き込んでおいてほしい」と語っている。

「コッティ・イン・フラグランツァ」は、2019年、ガンベロロッソ社より「全国ソーシャルフードプロジェクト賞」を、2021年にマッタレッラ大統領から「国民栄誉賞(団体版)」を授与されるという快挙を果たした。パレルモ少年院の菓子工房は、小さいながらも、「食」の力でより安全な社会の実現を目指すイタリア食業界のフラッグシップである。

(写真トップ)「コッティ・イン・フラグランツァ」は開設から6年間で2万7千キロ分のクッキーを製造し、10万個の商品を販売。オンラインショップ以外に、取扱店舗は国内に60店舗。ベルギ―にも輸出している。

(写真)主力商品はシチリア名物であるピスタチオや柑橘を使った焼き菓子。マンダリンビスケット「ブオン・クオーレ」は、シャクリという品種の柑橘を収穫することろから始まり、できるだけ無農薬で栽培された材料を使う。2022年のクリスマスには3種類のパネットーネもリリースし、ミラノの有名菓子店と変わらない高価格で販売された。写真はギフトセット「Cesta Duci e Pacenzia」50ユーロ。

(写真)アブルッツォの三ツ星シェフ、ニコ・ロミート氏がレシピを提供したシチリア産ピスタチオのタルト(Torta Croccante al Pistachio)。



◎Cotti in Fragranza / laboratorio di prodotti da forno all’interno del carcere
https://www.cottiinfragranza.com/

*1ユーロ=143円(2022年12月時点)

料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。