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JOURNAL / 世界の食トレンド

おやつのように食べたくなる魚料理。“フィッシュケーキ”売上アップ大作戦

Norway [Oslo]

2024.03.14

おやつのように食べたくなる魚料理。“フィッシュケーキ”売上アップ大作戦

text by Asaki Abumi
(写真)お弁当にぴったり、冷やして食べるひと口サイズのフィッシュケーキ「マットパッケ・カーケ」。パッケージに魚の絵をあしらい子供にもアピール。

海産物大国のノルウェーだが、家庭では海産物よりも肉が圧倒的な人気を誇る。養殖サーモンなどは日本など国外での需要が高い。共働き家庭が多く、魚の調理方法がわからない世代もいるノルウェーでは、一般家庭に魚をもっと浸透させようと、食品業界が様々な手法でアピールしてきた。

ノルウェー海産物審議会の年次カンファレンスが開催された2024年1月、北欧地域のシーフード製品の製造・販売に携わるインシュラ(INSULA)社の事業開発部長インゲル・ヨハンネ・ソルハウグさんが、業界に向けて、「消費者主導のイノベーションは可能だ!」と力強い成功ストーリーを共有した。


インシュラ社の資料

(写真)インシュラ社の資料から。「長期的なカテゴリー開発で結果を出す」との言葉通り、同社は20年かけてフィッシュケーキの売上向上に力を注いでいた。

同社は「ノルウェーの子どもは海産物よりもお菓子を食べている。同じように魚を魅力的にするには?」と調査を開始。たどり着いた課題は、「業界の言葉で、生の魚を消費者に売ろうとしていた」ということだった。

まずは消費者が理解できる言葉で語り掛ける必要がある。そこで、「海産物をもっと食べたくなるには」「冷凍ピザのように、国民が心から喜んで海産物を買うようになるには、どうしたらよいか」と戦略を練り始めた。

ターゲットとしたのは、「フィスケカーケ(Fiskekake)」と呼ばれるフィッシュケーキ(魚団子)だ。日本の“すり身”“練り物”にあたる。スーパーに必ず並ぶノルウェーの定番商品だが、売上を伸ばすためには宣伝方法に改革を起こす必要があった。魚を食べなきゃという“義務感”から、“おいしそう”と思ってもらえるには?そこでヒントにしたのが、どの国でも好かれているチキンナゲット、ポテトチップス、チキンフライ、ハンバーガーなどの様々な人気商品と定番の“チーズ味”の組み合わせだ。

完成したのが、ハンバーガーに挟むパティのフィッシュケーキ版。パッケージに“バーガー(BURGER)”という文字を大々的に打ち出し、カリカリに焼き上げたような見た目で、そのまま食べたり、パンに挟んだりと、すぐに家庭で活用できそうだ。


フィスケカーケ(Fiskekake)」と呼ばれるフィッシュケーキ(魚団子)

(写真)ロフォーテン社の「ヘルスプロ・フィスケバーガー」。ロフォーテン諸島で穫れた魚を使い、スパイシーで中にはチーズが入っている。外側はコーンクリスプをまぶしてあるので、フライパンやオーブンで温めればカリッとした食感が楽しめる。

さらに“マットパッケ(Matpakke=弁当)”に着目。ノルウェーの弁当は、プラスチック箱に冷たくて乾いたサンドイッチを詰めるのが常だが、弁当箱にそのまま入れられる「手間なし」「小さくてかわいい」「(フィッシュケーキ独特の)臭いが強くない」「ケチャップ味のスパゲッティと好相性」の、弁当用フィッシュケーキ「マットパッケ・カーケ」を生み出した。

商品改革は大成功。新鮮味が欠けていたフィッシュケーキが、「おいしくて、今すぐにでも食べたい」と思えるような商品に生まれ変わった。「長期的な良い計画は結果を生む」というのがインシュラ社の学びだとソウルハウグさんは語る。

カンファレンスで成功ストーリーを聞いていた会場の関係者たちは、大喝采。他にも、丸い形が一般的なフィッシュケーキをハート型にしたりと、フィッシュケーキの改革は今も続いている。


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