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PEOPLE / 寄稿者連載

日々の味噌汁をサステナブルにする

東野華南子さん連載 「暮らしを創る、店づくり ―いい空間て、なんだろう― 」第6回 

May 31, 2021

PEOPLE / LIFE INNOVATOR

味噌汁が好きなのだけれど、なかなかつくるのが定着しなかった。
鰹節で味噌汁をつくっていたのだけれど、だしがらが勿体無くて、とっておいてふりかけにする・・・のが追い付かないから、味噌汁をつくるのが億劫になる・・・。
食材を最後まで大切に使いたい、と思う気持ちが、日々の味噌汁のハードルになってしまっていました。


ロスを出さずに、味噌汁をつくる

そんな私が、毎日味噌汁をつくるようになったのは、ふたつきほど前のこと、ふたつのきっかけがありました。

ひとつは、私がきまぐれに水出しでいりこだしをつくったこと。
その透き通ったおいしさに感動・・・!鰹だしの華やかさとは違ったおいしさで、するすると体に染み渡っていく味に、すっかり味噌汁はいりこ派になりました。


愛用するいりこは、香川県観音寺市「やまくに」のいりこ
https://r-tsushin.com/people/producer/daichikaranokoe_yamakuni.html

そしてふたつめは、息子が食物アレルギーがあり食べられないものが多く、その上野菜も食べない・・・と、日々のごはんづくりに苦戦していたこと。
その日も、どうせ食べないだろうな、と思って大人用につくった味噌汁を何気なくあげたら、普段は食べない大根を、次から次へと食べていく・・・!
煮物にしても、おでんにしても、鶏手羽先と甘辛く煮てもフライド大根にしても食べなかった大根を・・・!そうとなったら、なんでも味噌汁にしてあげてみよう、となりました。白菜も、小松菜も、どんな風に味付けしても食べなかった野菜を、味噌汁にした途端、食べる食べる・・・!

ふりかけにするのが面倒、とかいっている場合じゃない。味噌汁さえ食べてくれれば、オッケーだ!と、気が楽になったので、再びだしがら問題に取りくむことに。

結果、我が家はオーブンでいりこを乾煎りしてミルサーにかけ、粉末だしにして食べちゃう作戦にしました。

これだと、ごはんの前に鍋に水とティースプーン1杯いれて火にかければあっという間にだしができるので、水出しを作り忘れても大丈夫だし、だしがらもでない。
ささっとつくれるので、朝晩なにも考えずともひとまず味噌汁つくろっか、と生活に取り入れられるようになりました。

工夫や発明ってほんとうに素晴らしいなぁ・・・とすっかりご満悦です。


いまできる、最高の仕組みを発明する

家庭で味噌汁をつくり始めたことをきっかけに、リビセンでも毎日の味噌汁を取り入れることになりました。しかも、毎日6リットル!

このお話しはリビセンのインスタグラムにも投稿したアナザーストーリーですが、
スタッフみんなで食べる賄いはリビセンの伝統でした。
みんなでそれぞれの持ち場で作業して、お昼ごはんにぺこぺこのおなかでみんなで集まって、おいしいー!とひとしきり盛り上がったら、わたしはこんな作業してたよ、そっちはどう?なんて話をしながら食べて、午後も頑張ろうねーってまた散り散りになっていく。そして、夜もまた同じように。

ですが、スタッフのライフスタイルの変化や作り手の問題、働き方の多様化で、賄いづくりは負担が大きく、続けかたを模索していたところでもありました。
そこで気づいたのが、味噌汁のおいしさ、包容力。

「おいしいごはんと味噌汁(と、できれば近所の漬物名人たちの漬物)があれば幸せだ!」をテーマに、日々届く八百屋で売れなくなってしまったレスキュー野菜を使って、毎朝味噌汁をつくることでスタッフの負担を減らすことにしたのです。

あとは各々1品つくったり持ってきたりすれば、じゅうぶん定食になる!
みんなで毎晩、じゃんじゃか作ってわいわい食べていたあの時間は、とてつもなく愛しくて夢みたいな時間で、嬉しくて楽しくて大好きでした。

でも、諸行無常!!!!いまできる、最高の仕組みを発明し続けることが大切で、それが生活の中から生まれることが暮らしと仕事を密接な関係性のなかで営む楽しみだなぁ、と思う。

まずはおいしい味噌汁を、みんながつくれるようになるように特訓したいと思います。


短期間で、味噌汁の魅力に幾度も気付かされることになりました。味噌汁、偉大です。





東野 華南子(あずの・かなこ)
1986年埼玉生まれ。中央大学文学部を卒業し、カフェで店長、ゲストハウスでの女将経験を経て、2014年よりフリーランスデザイナーだった夫・東野唯史氏とともに「medicala」として空間デザインユニットとしての活動をスタートする。15年に新婚旅行で訪れたポートランドのDIYの聖地とも言われる古材住宅資材販売ショップ「ReBulding Center」に感銘を受け、名称の使用許可を得て、16年に同名にて店をオープン。代表取締役は唯史氏。リサイクルショップとしてだけではなく、「REBUILD NEW CULTURE」を信念に掲げ、捨てられていくものや忘れられていく文化を見つめ直し、人々の生活を再び豊かにする仕組みを作るチームを目指す。
http://rebuildingcenter.jp/





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