シチリアのマンマのアップサイクル術。硬くなったパンを主役に。「インパナート」
レスキューレシピ【捨てないレシピ編】
2023.03.09
photographs by Tsunenori Yamashita
連載:レスキューレシピ
日本の食品ロス量は年間570万トン*と言われています。生鮮食品においても、豊作で余ったり、規格外、傷、スレがあって売り物にならず、行き場のない食品が日々廃棄されているのです。家庭内で料理中に出る端材や余らせがちなパーツも、新たな魅力を見出し、活用法を考えることで捨てる量を減らせます。食材を無駄にせず、おいしく食べるための活用術をシェフの技に学びます。
*農林水産省「日本の食品ロスの状況(令和元年度)」
目次
- ■教えてくれたシェフ:東京・白金「ロッツォシチリア」中村嘉倫(よしみち)さん
- ■揚げ衣だけではもったいない。パン粉をパスタに、ソースに!
- ■「インパナート(パン粉焼き)」材料と作り方
- ■「ロッツォシチリア」店舗情報
教えてくれたシェフ:東京・白金「ロッツォシチリア」中村嘉倫(よしみち)さん
揚げ衣だけではもったいない。パン粉をパスタに、ソースに!
シチリアで、マンマの味として食べた「インパナート」。“パン粉づけした”という意味ですが、揚げものではなく、肉や魚にのせて火を通すパン粉焼きです。
日本のパン粉は粗挽きですが、イタリアの主流は、極細挽き。硬くなったパンを数日乾燥させて削ったものです。その極細挽きパン粉に、ナッツ類やハーブ、スパイスなどをブレンドしたアレンジが新鮮でした。ナッツは食感を残すため、敢えてパン粉に大きさを揃えずに数種類組み合わせる。
日本では、パン粉は揚げ衣としか見られませんが、シチリアでは、パン粉はパスタにかけたり、ソースに加えたりするほどポピュラーです。この料理は、食材の脂をパン粉に吸わせ、旨味と食感を楽しみながら食べる、パン粉が主役の一皿。ナッツやハーブを混ぜ、食材にたっぷりのせて焼き上げたインパナートは、香ばしいロースト香が食欲をそそります。
「インパナート(パン粉焼き)」材料と作り方
[材料](1皿分)
アジ切り身(白身魚でも可)・・・60g
イカ切り身(10g)・・・3枚
〈アジ用パン粉〉
パン粉(極細挽き*)、アーモンド、ピスタチオ、松の実、レーズン(マルサラ酒漬け)・・・各同量
〈イカ用パン粉〉
生パン粉(市販の粗挽き生パン粉で可)・・・適量
イタリアンパセリ、ミントの葉(粗く刻む)・・・各同量
塩・・・適量
E.Vオリーブ油・・・適量
<*パン粉の作り方>
イタリアの家庭で使われるのは極細挽きのパン粉。焼き上がりのザクザクした食感を味わえる。
① 硬くなったフランスパンなどを乾燥させ、適当な大きさに切る。②フードプロセッサーで粉砕して細かくする。
[作り方]
[1]塩をふる
アジは軽く水洗いし、キッチンぺーパーで水気を拭き取る。イカは斜めに数本の切れ目を入れ、塩をふる。
[2]アジ用のパン粉を作る
アーモンドは他のナッツの大きさに合わせて刻む。ボウルにパン粉、ナッツ類、レーズンを入れて混ぜ合わせる。
POINT:ナッツ類はそのままか粗めに刻み、ゴロゴロした食感と存在感を出す。サイズを揃えて歯応えを揃える。
[3]パン粉をのせる
耐熱皿に皮目を下にしたアジをのせ、軽く塩をふる。上から2をたっぷりのせる。
[4]生パン粉をのせる
イカも同じように耐熱皿にのせ、イタリアンパセリとミントの葉を散らし、上から生パン粉をたっぷりかける。
[5]オーブンで焼く
180℃に熱したオーブンに3、4を入れ、パン粉に香ばしく色が付くまで焼く。
POINT:イカは火を通し過ぎると縮むので注意。
[6]オリーブ油をかける
オーブンから出し、上からE.V.オリーブ油を回しかける。
「ロッツォシチリア」店舗情報
◎ロッツォシチリア
東京都港区白金1-1-12 内野マンション1F
☎03-5447-1955
18:00~21:00LO
日、月曜休
東京メトロ、都営地下鉄白金高輪駅より徒歩10分
Instagram:@rozzo_sicilia
※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2016年10月号掲載)
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