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RECIPE

シチリアのマンマのアップサイクル術。硬くなったパンを主役に。「インパナート」

レスキューレシピ【捨てないレシピ編】

2023.03.09

シチリアのマンマのアップサイクル術。硬くなったパンを主役に。「インパナート」 レスキューレシピ【捨てないレシピ編】

photographs by Tsunenori Yamashita

連載:レスキューレシピ

日本の食品ロス量は年間570万トン*と言われています。生鮮食品においても、豊作で余ったり、規格外、傷、スレがあって売り物にならず、行き場のない食品が日々廃棄されているのです。家庭内で料理中に出る端材や余らせがちなパーツも、新たな魅力を見出し、活用法を考えることで捨てる量を減らせます。食材を無駄にせず、おいしく食べるための活用術をシェフの技に学びます。
*農林水産省「日本の食品ロスの状況(令和元年度)」

目次






教えてくれたシェフ:東京・白金「ロッツォシチリア」中村嘉倫(よしみち)さん

中村嘉倫

シチリア料理「ロッツォシチリア」シェフ。1974年東京生まれ。大学卒業後、幼い頃から興味を持っていた料理の世界へ。都内のレストラン等を経て、2005年渡伊。シチリア・パレルモで3年間を過ごし、帰国後11年に支配人の阿部努さんと共に現店を開く。15年2号店のバール「イル クアルト ポンテ」をオープン。「ミシュランガイド東京」ビブグルマン。


揚げ衣だけではもったいない。パン粉をパスタに、ソースに!

シチリアで、マンマの味として食べた「インパナート」。“パン粉づけした”という意味ですが、揚げものではなく、肉や魚にのせて火を通すパン粉焼きです。

日本のパン粉は粗挽きですが、イタリアの主流は、極細挽き。硬くなったパンを数日乾燥させて削ったものです。その極細挽きパン粉に、ナッツ類やハーブ、スパイスなどをブレンドしたアレンジが新鮮でした。ナッツは食感を残すため、敢えてパン粉に大きさを揃えずに数種類組み合わせる。

日本では、パン粉は揚げ衣としか見られませんが、シチリアでは、パン粉はパスタにかけたり、ソースに加えたりするほどポピュラーです。この料理は、食材の脂をパン粉に吸わせ、旨味と食感を楽しみながら食べる、パン粉が主役の一皿。ナッツやハーブを混ぜ、食材にたっぷりのせて焼き上げたインパナートは、香ばしいロースト香が食欲をそそります。


「インパナート(パン粉焼き)」材料と作り方

[材料](1皿分)
アジ切り身(白身魚でも可)・・・60g
イカ切り身(10g)・・・3枚

〈アジ用パン粉〉
パン粉(極細挽き*)、アーモンド、ピスタチオ、松の実、レーズン(マルサラ酒漬け)・・・各同量

〈イカ用パン粉〉
生パン粉(市販の粗挽き生パン粉で可)・・・適量
イタリアンパセリ、ミントの葉(粗く刻む)・・・各同量
塩・・・適量
E.Vオリーブ油・・・適量

<*パン粉の作り方>
イタリアの家庭で使われるのは極細挽きのパン粉。焼き上がりのザクザクした食感を味わえる。

フードプロセッサーで粉砕

① 硬くなったフランスパンなどを乾燥させ、適当な大きさに切る。②フードプロセッサーで粉砕して細かくする。

[作り方]
[1]塩をふる

塩をふる

アジは軽く水洗いし、キッチンぺーパーで水気を拭き取る。イカは斜めに数本の切れ目を入れ、塩をふる。

[2]アジ用のパン粉を作る

パン粉、ナッツ類、レーズンを入れて混ぜ合わせる

アーモンドは他のナッツの大きさに合わせて刻む。ボウルにパン粉、ナッツ類、レーズンを入れて混ぜ合わせる。
POINT:ナッツ類はそのままか粗めに刻み、ゴロゴロした食感と存在感を出す。サイズを揃えて歯応えを揃える。

[3]パン粉をのせる


パン粉をのせる

耐熱皿に皮目を下にしたアジをのせ、軽く塩をふる。上からをたっぷりのせる。 

[4]生パン粉をのせる

生パン粉をのせる

イカも同じように耐熱皿にのせ、イタリアンパセリとミントの葉を散らし、上から生パン粉をたっぷりかける。

[5]オーブンで焼く

オーブンで焼く

180℃に熱したオーブンにを入れ、パン粉に香ばしく色が付くまで焼く。
POINT:イカは火を通し過ぎると縮むので注意。

[6]オリーブ油をかける

オリーブ油をかける

オーブンから出し、上からE.V.オリーブ油を回しかける。

インパナート

「ロッツォシチリア」店舗情報


ロッツォシチリア

◎ロッツォシチリア
東京都港区白金1-1-12 内野マンション1F
☎03-5447-1955
18:00~21:00LO
日、月曜休
東京メトロ、都営地下鉄白金高輪駅より徒歩10分
Instagram:@rozzo_sicilia

※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2016年10月号掲載)

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