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JOURNAL / 世界の食トレンド

America [Los Angeles]グルテンフリーでヴィーガンもOK!“搾りかす”から生まれた新スナック

2023.04.20

America [Los Angeles]グルテンフリーでヴィーガンもOK!“搾りかす”から生まれた新スナック

text by Kuniko Yasutake / photographs by Pulp Pantry

野菜に熱を加えず搾汁したコールドプレス・ジュースや、豆腐や豆乳がすっかり浸透した米国市場。その製造工程で生じる栄養価の高い食品廃棄物、つまり野菜の搾りかすを原料にしたスナック菓子「パルプ・チップス(Pulp Chips)」に、消費者、食品業界、投資家が注目している。トルティーアチップスよりやや厚めで、歯応えある食感が好評だ。

大手メーカーと業務提携することで、セロリ、ケールなど野菜の繊維やおからを、無料で、かつ継続的に調達することに成功。さらに、従来のスナック菓子の主原料であるジャガイモやトウモロコシ、穀類を一切使わない全く新しい商品を生み出したのだ。プラントベース、グルテンフリー、ヴィーガン、ロカボ、高タンパク、ハイ・ファイバー、フードロス解消、といった現代食トレンドのバズワードが、広告やパッケージに並ぶ。

ユニークなのは野菜の皮やヘタなど未使用部分ではなく、製造後に残った“かす”に新しい価値を見出したことだ。このアップサイクル食品の製造販売を、2020年にスタートしたケイトリン・モーゲンテール氏は、中学生の時に見た映画『不都合な真実』で開眼し、大学では環境学を専攻することに。学生時代、ジュースを搾った後のニンジンでクッキーを作ってみたことが、商品開発のヒントとなった。

2022年には、将来性のある起業家と投資家をつなぐテレビ番組『シャーク・タンク』に出演し、50万ドル(約6700万円)の資金調達をかなえた上、ブランドの知名度と売り上げアップも実現した。しかし入手できる原料の量が、供給元の生産高に影響されるので、高まる需要にどうタイムリーに応えていくかが今後の課題となるだろう。

(写真トップ)フレーバーはシーソルト、ハラペーニョ・ライム、バーベキュー、ソルト&ビネガーの4種類。環境への影響を考慮し、パッケージ袋のプラスチックの厚みやサイズにも注意を払っている。商品の売上に応じて、世界各地のプラごみ廃棄業者を支援する企業に与えられる「プラスチックニュートラル認定」を取得済みだ。

創始者のケイトリン・モーゲンテール氏

(写真)「1袋で1日に必要な食物繊維が摂れる新循環型チップスは、環境と健康と食欲にインパクトを与える」と創始者のケイトリン・モーゲンテール氏。人気テレビ番組の反響を見越して、放送後の生産計画を立てておくべきだったと振り返った。彼女のエネルギー溢れるプレゼンテーションはYouTubeで視聴可能だ。



◎Pulp Pantry
Pulp Chips4袋パック 20ドル(1袋142g入り)
https://pulppantry.com/

*1ドル=133円(2023年3月時点)

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