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PEOPLE / シェフ名鑑(アーカイブ)

「料理を前進させる」

福本伸也/Shinya Fukumoto  

カ・セント/Ca Sento

2015.05.14

福本伸也
photographs by Harry Nakanishi

1978年4月18日生 / 兵庫県出身 / O型
15歳で料理の世界に入る。1999年3月、20歳でイタリアへ渡る。ピエモンテ「ダ・ロレンツォ」やナポリのレストランを回った後、ミラノ「サドレル」で2年修業。2002年7月にスペインへ。サン・セバスチャン「ムガリッツ」、バレンシア「カ・セント」で経験を積む。「カ・セント」では後半シェフを務める。07年帰国、08年5月「カ・セント」をオープン。2010年ミシュラン三ツ星を獲得(現在も維持)。

FAVORITE
音楽 : 尾崎豊
本 : 斉須政雄シェフの本
映画 : ジブリ

MY LEGEND
アンドーニ・ルイス・アドゥリス
「ムガリッツ(スペイン・サン・セバスチティアン)」シェフ。1971年生まれ。「アルサック」「エル・ブジ」「マルティン・ベラサテキ」などを経て、98年、現店のシェフに就任。06年、ミシュラン二ツ星を獲得。

ラウール・アレクサンドレ
「カ・セント(スペイン・バレンシア・現閉店)」元シェフ。05年より両親であるビセンテ・アレクサンドレとムーリア夫妻に代わって店を統括。12年5月、創業者セント氏が築き、32年続いた同店だが、惜しまれつつ閉店。


今日届いた野菜たち

昼・夜のコースの一品

昼・夜のコースの一品

「いろんな経験を重ねて料理は形成される」と考える福本さんにとって「料理は変わっていくもの」。そんな中で変わらず出し続けるのが、現地「カ・セント」仕込みのおじやと「ムガリッツ」仕込みのこのサラダ。毎日顔ぶれが異なる野菜に弓削牧場のホエー(乳清)のソースをかけて。

今帰仁アグーのロースト

今帰仁アグーのロースト

入荷のある時のみ

「今帰仁アグー」は、福本さんが敬愛する沖縄の生産者・高田勝さんによる在来種の豚。真空調理後、炭火で香りを立たせるように焼く。旨味が強くて脂身はさらりとジューシーな持ち味を、存分に引き出す。


必要とされるためのキーワード
「旨い!」を目指す。

カ・セント

福本伸也さんが目指す地点は「旨い!」である。旨いもん好きの関西っ子たちも唸る「旨い!」を、イタリアとスペインで8年、ガストロノミーの最前線で働いた経験の上に作ろうというのだから、力技が要る。

「旨さの追求と新しさを求める気持ちの狭間で、日々格闘です」

 カラダが反応してしまう旨さを皿にのせようと思った時、福本さんが拠り所にするのは食材だ。「素材の個性は作り手の個性」と考える福本さんはひたすら生産者の顔と人柄を思い浮かべて調理する。結果、自分の気配を消すかのように、皿はどんどんシンプルになった。

 関西っ子も唸る「旨い!」とは「時代が変わっても、変わらないおいしさ」。簡単にたどり着けるわけがない。「すぐに答えが出なくていい。失敗と発見を繰り返す、螺旋階段のような道のりでいい。真っすぐな道はつまらない」。

 60歳になっても調理場に立っていたい。「旨い!」と言わせ続けたい。せつないほど熱いその思いを抱えて、数年後には再び海外で修業したいと密かに願う。



◎カ・セント
兵庫県神戸市中央区中山手通4-16-14
078-272-6882
12:00〜13:00 LO 18:00〜20:00 LO
定休日 月曜、第3火曜休

カード 可
座席 全24席
タバコ 禁煙
JR元町駅、阪神元町駅より徒歩15分弱
http://casento.jp

昼、夜ともおまかせコースのみ 昼8600円 夜15000円 (税込・サ別)
【WINE】グラス白3~4種、赤3種1000円~、ボトル5500円~

(『料理通信』2012年5月号取材時点)

「2009年06月満席の店をつくった若手料理人10人の仕事術」 掲載
「2011年12月クリエイション魂」 掲載
「2012年05月100人のシェフが考える「必要とされる店」になるために」 掲載
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