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海洋資源を巡るエコシステムを創る

北海シェフからの便り

vol.7 「魚料理、最高料理人賞」

Feature / SdgsAug. 8, 2019

text by Aya Ito photographs V.L.A.M.

北海の魚を守る同志。

昨年11月19日、ベルギーのゲント市で「魚料理、最高料理人賞」のファイナルが行われた。
これは、フランドル地方の農水産物の販売・消費・イメージを促進する非営利団体「V.L.A.M.(フランドル農産物販売協会)」が主催するコンクールで、年に一度開催される。V.L.A.M.の代表であるリュック・ユイスマンスさんが立ち上げ、昨年は記念すべき第30回を迎えた。

その審査員長を6年前から務めるのが、北海シェフ協会の代表者にして二ツ星「ドゥ・ヨンクマン」シェフ、フィリップ・クライスさんだ。クライスさんのほか9名の審査員は、北海シェフメンバーの錚々たる料理人とV.L.A.M.のメンバーから成る。

クライスさんとユイスマンスさんは、北海の魚を守ろうと活動をしてきた同志である。
ユイスマンスさんは、コンクールに限らず、プロや消費者向けのメディアなど様々な媒体を通して、知られざる魚を伝え、その価値を上げる活動に力を尽くしてきた。

クライスさんが北海シェフ協会を立ち上げる構想を練っていた時、ユイスマンスさんの活動を知って、力を借りるべく会いに行ったのは、当然のなりゆきだった。
クライスさんは、政府から2年間限定の助成金を得て、北海シェフ協会を立ち上げることができたが、政府の説得に一役買ったのがユイスマンスさんだった。以来、2人は足並みを揃えて活動している。



左がコンクール主催者V.L.A.M.の代表(当時)リュック・ユイスマンス、右が北海シェフ協会代表のフィリップ・クライス。




魚の価値を上げる料理コンテスト。

V.L.A.M.がコンクール「魚料理、最高料理人賞」を開催する目的は、北海の魚の豊かさをベルギーに広く知らしめ、知られざる魚の価値を上げていくことである。その目的は、6年前から北海シェフ協会と組むことによって、いっそう強化されたと言っていい。
たとえば、4年前のコンクールのテーマに選ばれた「ルセット(トラザメ)」は顕著だった。当時キロ40サンチームだったトラザメが、今やキロ5ユーロに上昇。価格が何倍にも上がったのは、知られざる魚だったトラザメの知名度がコンクールによって高まったからだ。

毎年、漁の状況や、卸、小売りなどのマーケット状況を鑑みて、その年にスポットを当てる魚を選出、テーマ食材として設定される。2018年のテーマとなった魚は「アンコウ」だった。
アンコウは、季節を問わずマーケットにのぼるが、北海では秋に捕れる。ただし、アンコウを狙った漁が行われているわけではない。ヒラメ類の漁の際にアンコウも一緒にかかるという捕れ方で、それが全漁獲高の30%を占める水揚げ量という。過剰漁獲の心配もない。ただ、これまでキロ40~45ユーロと安定していた価格が、アンコウの需要の低下もあって、2017年末、突如下落した。ガストロノミーに欠かせない食材として愛されてきた魚だけに、もう一度、料理人たちのアンコウへの興味を呼び覚ましたいとの意図があった。



約2時間の所要時間で、1人分150g以上のアンコウを使用したレシピをホール内のオープンキッチンで調理する。仕事の正確さも採点。



観衆が見守る中、北海シェフメンバー合わせて10人の審査員が5人の料理人のレシピを評価した。



身が締まり、味わいは甘く、様々な調理法が可能なだけに、コンクールに挑戦したシェフたちのレシピには高度な技術とオリジナリティが求められた。25人の書類審査を経て、ファイナルに臨んだのは5名。30歳前後の将来が楽しみな若き料理人ばかりである。

料理人として海のサステナビリティを守る――北海の魚の豊かさとマーケットを安定させる、環境に配慮する、漁師の仕事にリスペクトを持つ、など――を目的にした北海シェフ協会の活動に共感する人が、次世代を担う若手のシェフたちの間でも増えている。
コンクールの優勝者にとって、北海シェフ協会の中心的なメンバーに迎え入れられるのは魅力的だ。また、北海シェフ協会にとっても、若手のシェフを取り込む絶好の機会と言える。


アンコウは様々な調理法が可能な素材なだけに、持ち味を際立たせるオリジナリティあるレシピが求められる。



魚の捌き方も評価のポイント。

優勝は、 ベルギー西部、フランスに近い内陸タインウェイク市の二ツ星レストラン「オテルリー・サン・ニコラ」のミカエル・ヴァンデルヘーゲさんが獲得した。2017年の第14回「エスコフィエ・若い才能」コンクールでベルギー人初の優勝を勝ち取った人物である。父親はベルギーの料理人の名士として知られるフランキー・ヴァンデルヘーゲさんで、ミカエルは父の右腕としてレストランを支え、北海の魚をメニューに積極的に取り入れている。



左から2番目が優勝者のヴァンデルヘーゲ。右端はサポートしたセカンドシェフ。クライスさんから賞金500ユーロの小切手を受け取った他、三ツ星レストランでの食事への招待と北海シェフ協会メンバーへの加盟を許された。

トロフィーを手にしたヴァンデルヘーゲ。北海の魚に貢献する抱負を新たにする。

アンコウは一般に頭と皮を除去して売られるが、コンクールでは皮付きのまま配られた。その処理も評価のポイントである。ヴァンデルヘーゲさんのレシピは、アンコウに2つの調理を施した2品から成る。1品はカレー風味にマリネにしたアンコウをフライにして、ココナツミルクとガランガル風味の泡のスープで覆い、ウイキョウの薄切りを添えた温製。もう1品は、アンコウのカルパッチョと燻製ウナギの組み合わせで、ジャガイモのマヨネーズ和えとニシンの卵を添えた冷製である。
クライスさんは、ヴァンデルヘーゲさんの仕事を、「魚の扱い方、捌き方も正確で、持ち味を2つの方法で最大限引き出して秀逸。レシピのオリジナリティも飛び抜けていた」と評価する。



下がメインの温製の皿。カリッと歯応えの良いアンコウのフライは、予めカレー風味にマリネしてある。ドライにした薄切りのウイキョウのパリパリとした食感、エキゾチックなタイ風スープが、アンコウをさらに引立てる。上は冷製の付け合わせ。アンコウはカルパッチョにしてウナギと和え、ジャガイモのマセドワーヌサラダの上にのせた。


「北海は、私たち料理人にとって、大切な魚の宝庫です。それを私たちにもたらしてくれる漁師の方々と共に、料理人として北海のサステナビリティを意識しながら料理を作っていかなければと思っています」とヴァンデルヘーゲさん。

今年11月16日に開催される31回目のコンクールの挑戦者の募集が開始された。テーマは「メルラン鱈」に決定。ユイスマンスさんは定年で退職したが、その意志は新しい世代にバトンタッチされ、北海シェフ協会と共に受け継がれていく。



北海シェフ協会が築くエコシステム







ゴールとのつながり


12

つくる責任つかう責任   ローカルかつ旬な食材を活用する。いまある資源を利用する。


14

海の豊かさを守ろう    北海の雑魚の価値を高めていく。海の保全活動を行う。




  

<OUR CONTRIBUTION TO SDGs>
地球規模でおきている様々な課顆と向き合うため、国連は持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals) を採択し、解決に向けて動き出 しています 。料理通信社は、食の領域と深く関わるSDGs達成に繋がる事業を目指し、メディア活動を続けて参ります。









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