食のバリアフリープロジェクト:FREEなレシピ 8
野菜で味を作る技。レシピ編
「ベージュ アラン・デュカス 東京」小島 景シェフ × ベジタリアン
2018.04.19
text by Kaoru Minokoshi photographs by Masahiro Goda
これぞ万能だし。きっちりフレンチの味に仕上がる。
昆布だし
「ベージュ」では、昆布だしを鶏のブイヨンと同等に活用しています。野菜を煮たり、ピュレやソースのベースにしたり、植物性素材の風味を損なわずに、コクを補えるのが昆布だしの魅力。海藻特有のぬめりにより、適度なとろみももたらされます。
1. 北海道・白口浜天然真昆布を使用。道産真昆布の中でも最上質。上品なだしがひける。
2. 昆布の表面を拭き、水に浸けて常温に半日置く。水1Lに昆布15gが基本分量(写真は4L分)。
3. 弱火で10分ほど煮出す。決して沸かさず、長く煮出さないこと。
4. 昆布を取り出し、液体を漉す。風味だけでなく、とろみも出ている。
鶏のブイヨンのようなコクをもたらす。
野菜ジュース
香味野菜からジュースを搾り、野菜のソースのベースに使います。「低速搾汁方式」のジューサーを使うのがポイント。野菜の味、香り、成分が生きたジュースは、濃縮させた時に、動物性のだしにも似た厚みのある味になります。
1. 素材のダメージを最小限に抑えるため、HUROM社の「低速搾汁方式」ジューサーを使用。
2. ニンジン1本とセロリの茎3枝を1cm太さの棒状に切る。
3. 低速回転のジューサーで、熱を与えずに搾る。左側が残った繊維質。
4. 搾り取ったジュース。ジューサーのメッシュが細かいため、固形分はまったく混じらない。
ストックしておくと様々に使える。
野菜のピュレ3 種
さやも捨てずに使う、焼いてからピュレにする、コクのある素材同士を合わせる、など、味を増強する工夫が盛り込まれています。
<グリンピースのピュレ>
1. 鍋にオリーブ油少量、グリンピース50g、そのさや15g(せん切り)を入れて塩少量をふり、強火でさっと炒め、蓋をして弱火で火を通す。(さやの香りもしっかり活用)
2. 火が通ったら、ほぼ同量の昆布だし(約50ml)を加え、強火でさっと煮る。(色が飛ばぬよう加熱は最小限に)
3. バットに広げ、氷水に当てて急冷する。
4. ③を汁ごと、バーミックスのスーパーグラインダーにかけてピュレにする。
5. シノワで漉して、薄皮や繊維質を完全に取り除く。必要に応じて塩で調味。
6. 豆臭さがまったくなく、香り高く、まろやか。かすかにほろ苦さもある。
<ラディッキオのピュレ>
1. グラインダーの容器に入れ、白コショウ、オリーブ油、レモン汁各少量を加えてピュレにする。
2. 火が通ったら、ほぼ同量の昆布だし(約50ml)を加え、強火でさっと煮る。
3. 甘苦さの混じる、パンチのある味。レモン汁を加えることで紅色が鮮やかに発色する。
<クルミとキノコのピュレ>
1. クルミ(皮むき)は倍量の水で30分茹で、茹で汁ごとミキサーでピュレに。マッシュルームはオリーブ油でソテー。マッシュルームピュレ100g:クルミピュレ40gを合わせる。(ナッツは生アーモンドでも可)
2. 昆布だし大さじ2、塩、白コショウ各少量を加え、グラインダーでピュレにする。
3. クルミの油分、キノコの水分、昆布だしが乳化して、濃厚でクリーミーな仕上がり。(カナッペにしても美味)
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