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JOURNAL / 世界の食トレンド

大自然の中でパーソナルなサービスを。スウェーデンでは今“小さな店”が人気

Sweden [Kaalasjärvi]

2023.08.14

大自然の中で一人ひとりに。スウェーデンでは今“小さな店”が人気

text by Sakiko Jin / photographs by Franz Bischof(photo1), Wilhelm Gisow(photo2,3,4),

近年、スウェーデンでは小さな店が増えている。親密なサービスを求められているのが理由の一つだ。「アークティックグルメキャビン(Arctic Gourmet Cabin)」はキッチンを含め全9㎡、客席4席だけの小さなレストランで、スウェーデン北部、炭鉱の町で知られているキルナ市郊外のカッラスヤェルヴィに位置する。

シェフのヨハンとソムリエのマーリンは、キルナ市郊外のユッカスヤェルビに毎冬氷で作られる有名な「アイスホテル(Ice Hotel)」で出会った。大自然と北部ノーランド地方を愛する2人は、多数相手の大きなホテルでの経験後、自分たちのきめ細やかなサービスが客一人ひとりに行き届くようにと、小規模レストランを始めた。


(写真)運が良ければ壮大なオーロラ出現の可能性もある。ヨハンは写真の心得もあるので、スマートフォンでも上手にオーロラが撮れる秘訣を手解きしてもらえる。

(写真)運が良ければ壮大なオーロラ出現の可能性もある。ヨハンは写真の心得もあるので、スマートフォンでも上手にオーロラが撮れる秘訣を手解きしてもらえる。

家族や友人たちの協力の下、レストランと宿泊施設のキャビン2棟(それぞれ15㎡)を建てた。施設内で使う水は井戸水、電気は太陽光発電、風力発電、そして水力発電による再生可能エネルギーだ。ゴミの分別はもちろんのこと、余剰食材は夏の間に自分たちで栽培する野菜の堆肥にする。食材はスウェーデン産のオーガニックで、客の目の前で調理し、丁寧に説明して提供している。

個性的でパーソナルな、本当の意味でのリラクゼーションを体験してほしいと願うアークティックグルメキャビン。まさに一人ひとりに行き届いたおもてなしと、眼前に広がる湖と山の大自然に囲まれた環境は、常にプラグインされている現代人を癒し、次なる活力へと導いてくれる。

(写真トップ)客の目の前で作った料理を、シェフ自らサービスし、説明する。ノーランド地方の食材や歴史を知り尽くしているヨハンならでは。

(写真)「ローラーカ(Råraka)」と呼ばれるスウェーデンの伝統家庭料理でもある、すりおろしたジャガイモのパンケーキ。付け合わせの定番、魚卵(写真はコクチマスの卵)とスメタナ(発酵乳)、赤タマネギとディル、レモンを添えて。

(写真)「ローラーカ(Råraka)」と呼ばれるスウェーデンの伝統家庭料理でもある、すりおろしたジャガイモのパンケーキ。付け合わせの定番、魚卵(写真はコクチマスの卵)とスメタナ(発酵乳)、赤タマネギとディル、レモンを添えて。

(写真)冷燻製したトナカイ肉、コーヒーでマリネした「カッフェオスト(Kaffeost)」と呼ばれるコーヒーチーズ、揚げた北部地方の薄い固パン、リンゴンベリーパウダー、なたね油。カッフェオストはフィンランド伝統のお茶のお供。コーヒーを飲む時にサイコロ状に切ったチーズを入れる。

(写真)冷燻製したトナカイ肉、コーヒーでマリネした「カッフェオスト(Kaffeost)」と呼ばれるコーヒーチーズ、揚げた北部地方の薄い固パン、リンゴンベリーパウダー、なたね油。カッフェオストはフィンランド伝統のお茶のお供。コーヒーを飲む時にサイコロ状に切ったチーズを入れる。



◎Arctic Gourmet Cabin
参考価格 1泊3390スウェーデンクローナ(ダブル、朝食込み)
https://www.arcticgourmetcabin.com

*1スウェーデンクローナ=13円(2023年7月時点)

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