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食のバリアフリープロジェクト:FREEなレシピ 9

ムスリム・基礎知識編

Feature / MovementMay. 14, 2018

text by Kyoko Kita
data by Pew Research Center

第一歩は「今あるものをどう変えるか」。

日本でムスリムとして暮らしてきた経験を生かして、ムスリム対応のコンサルティングやプロデュースを手掛けるカーン恵理子さんに「ムスリムの基礎知識」を教わりました。

カーン恵理子さん。合同会社Crossbridge 代表。ムスリムやハラールに関する正しい知識と対応策を広めるべく、セミナーやアドバイス、商品企画などを行う。




少数派ではない

今、世界には約16億人のイスラム教徒がいます。全人口の4分の1に迫る割合です。日本でも3〜4年前から「ムスリム(=イスラム教徒)」や「ハラール」といった言葉が聞かれるようになりました。が、まだまだ誤解や偏見があるのが実情と言わざるを得ません。

私は約20年前にパキスタン人男性と結婚し、以来ムスリムとして日本で暮らし、子育てをしてきました。悩み、葛藤、試行錯誤の連続でした。こと食事に関して様々な場面で壁にぶち当たってきました。外食できる場所、食材を買える場所が少ない。タブーな食材が含まれていないかどうかの判断ができない、など。海外からの旅行者や滞在者など日本語がわからない方々にはなおさらでしょう。




教えと共に生きる

そもそも「イスラム」(正しくは「イスラーム」)という言葉には、「平和」「従順」「服従」「帰依」といった意味があります。一部の報道から連想される危険なイメージとは程遠いものですよね。そして、右ページの6つのことを信じ(六信)、5つの行い(五行)をする人を「ムスリム」と言います。




●六信
1 唯一の神様=アッラー
2 天使・・・・・・神様の言葉を人に気付かせる存在
3 経典・・・・・・クルアーン(=コーラン)
4 預言者・・・・・・ユダヤ教、キリスト教の預言者も含む
5 終わりの日・・・・・・最後の審判
6 定命(運命、宿命)

●五行
1 信仰告白
2 毎日5回のお祈り
3 喜捨・・・・・・貧しい人への寄付
4 ラマダーン月(イスラム歴9月)の断食
5 メッカへの巡礼(ハッジ)・・・・・・一生に一回




イスラム教徒は世界に広く分布しており、住んでいる環境が違えば、民族も言葉も文化も違う。好きな音楽やファッション、味の好みも実に様々です。16億人を、イスラム教徒というだけで一括りにすることは到底できません。
そんな個性豊かなムスリムが一様に大切にしているもの、それがコーラン、正しくは「クルアーン」の教えです。

クルアーンはムハンマドが神様(アッラー)から授かった言葉をアラビア語で記録した啓典。でも抽象的でわかりにくい。それを補足するのが、「スンナ」や「シャリーア法(=イスラム法)」などと言えます。スンナは、ムハンマドのふるまいについての伝承に基づく範例や伝統であり、シャリーア法は、クルアーンやスンナを現代の法律や社会状況に照らして、イスラム法学者が再解釈した法律です。

クルアーンやスンナ、シャリーア法などには、お祈り、食事、断食の方法、衣服、結婚や離婚、相続、仕事、契約やお金など、暮らしに関わるあらゆる事柄が含まれています。これらの教えを守り、正しく生きようと努めるのは、ムスリムにとって非常に大切。また至極普通のことでもあります。ただし、日本のような非ムスリムの国で実践するには、ムスリム自身の努力はもちろん、周りの理解や配慮が不可欠です。




「ハラール」と「ハラーム」

では「ハラール」とは何でしょう。ハラールは「合法」「正しい」「ルールに合っている」という意味で、反対語は「ハラーム」。ムスリムは、食事に限らず生活全般について常に「ハラールかどうか」の意識、正しい生活をするためのガイドラインを持っています。 日本でも知られているのが、食事のハラール。基本的な決まり事はシンプルで、食べられない、料理に使えないのは主に以下の3つ。




● ハラームな食材(食べてはいけない食材)
1 豚肉、豚を使ったもの

*ラード、ゼラチン、豚由来の添加物、内臓、血液、皮、毛など含む。
2 ハラールでない牛、鶏、羊、ヤギ肉と、それらを使ったもの
*豚肉以外の哺乳類も、正しいやり方で屠畜された肉でなければなりません。
イスラム教徒がアッラーの名を唱えながら頸動脈を切り、動物に負担をかけずに血を抜いた肉であること。それらはハラール認証マークで見分けます。
3 アルコール
*飲酒は中毒性がある、健康を害するとして禁じられています。
注)その他、下記のような動物もハラームとされています。
・ 牙がある動物、肉食の動物
・ ワシ、フクロウなど鉤爪のある鳥、捕食鳥
・ 昆虫、サソリ、ヘビ、ハチ(ハチミツはOK)
・ ワニ、亀、カエルなど



これらの成分を含む調味料や添加物、加工品もNGです。気を付けたいのは、わかりにくい形で様々な食品に使われていること。豚は、ポークエキスやゼラチンなどがそうですし、薬や健康食品にも含まれていることがあります。




〝ハラール=認証〟ではない

日本では「ハラール認証」という言葉が独り歩きしてしまい、「認証を取っていなければハラールではない」といった誤解をしている方がいますが、そうではありません。3つのハラームを使っていなければ、ハラールなのです。だからスーパーで売られている魚や野菜も食べられますし、アルコール添加をしていない伝統的な造りの醤油や味噌も大丈夫。大切なのは、認証マークが付いているかどうかより、ムスリムが食べられるものかどうかを判断できる、正確な情報が示されていることだと考えています。




「ムスリム対応」のすすめ

同じことが飲食店にも言えます。商品同様、飲食店にも認証がありますが、人材の確保や設備の問題など、予算的にも労力的にも取得するには大きな負担がかかることもあり、多くの方がそこであきらめてしまいます。
認証の取得は、しっかりした戦略やビジョンのもと、必要不可欠と判断した場合には、ぜひ取り組んでいただきたい。けれど、そこまでせずとも、「ムスリム対応」という形でムスリムを迎え入れることは十分可能です。

ムスリム対応とは、認証を得ていないけれども、ムスリム自身の判断で利用できるよう、彼らが大切にする「ハラール」の考え方に則って、使う素材、環境に配慮し、情報提供やサービス提供に努めること。アレルギー対応とよく似ています。メニューに卵やエビのマークを記載することで、アレルギーを持つ人はその料理を頼まない選択ができるのと同じです。

今あるメニューをハラール対応にアレンジするのもむずかしいことではありません。基本はアレルギー対応と同じ。ハラームな食材を、
① 抜く
② 代える
③ 使わない
④ 混ぜない

そうするだけで、私の感覚では7〜8割のムスリムが利用できるようになると思っています。

調理場や食材の保管場所を変える、調理器具や食器を分けるなど、できればそこまでの配慮を期待したい。けれど、店舗によって、何ができるかは異なるでしょう。そして、同じムスリムでも、厳格に戒律を貫く人から、置かれた環境の中で妥協点を見出して比較的ゆるやかに教えを守ろうとする人まで様々です。
何を、どこまでをハラールとするかは一人ひとり違います。彼らが求めているのは、判断するための正しい情報。ちょっとした工夫で、ムスリムもそうでない人も共に同じ食卓を囲めるようになるのです。
まずは「今あるものをどう変えたらよいか」「無理なく何ができるか」を探ってみてください。それが第一歩です。

















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