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PEOPLE / 寄稿者連載

はじめまして、リビルディングセンタージャパンです。

東野華南子さん連載 「暮らしを創る、店づくり ―いい空間て、なんだろう― 」第1回 

2020.01.30

PEOPLE / LIFE INNOVATOR

連載:東野華南子さん連載

いい時間をつくりたい。いい空間をつくりたい。
帰り道が心晴れやかになる場所をつくりたい。
そんな風に思って、20代の多くの時間を、
いくつかのコーヒー屋とひとつの宿屋に立ちながら、過ごしていました。
「いい空間ってなんだろう」
その問いに向き合いながら、店舗の1日1日をつくっていた私は今、
長野県諏訪市にある古材屋で働いています。

はじめまして、リビルディングセンタージャパンという古材屋を長野県諏訪市で営んでいます、東野華南子といいます。正確には、2016年の9月より、夫の東野唯史と共に経営をしています。

リビルディングセンタージャパン(以下リビセン)という名の古材屋では、解体予定であったり片付けの途中の建物から、古材やトタンなどの資材、食器や家具などの古道具を引取り(レスキューし)、次の世代に繋ぐべく販売したり、活用方法の提案をしたりしています。
住み手がいなくなってしまった家は、解体するにせよ人に貸すにせよ、まずはお片付けしようか、ということになります。
そういう時に、大家さんから直接連絡をいただき、レスキューするわけです。
主にリビセンから車で1時間圏内の場所が活動拠点です。

レスキューしてきた古材や古道具は、洗ったり手入れしたりして店頭で販売する、というのが大まかな店舗の流れです。
店舗の1階にはカフェも併設していて、買物途中にひと休みすることもできます。

私達の考える古材のいいところは、

①資源を循環させることで、ゴミを減らせること
②建物の思い出を引き継げること

そうやってレスキューしてきた古材や古道具は、スタッフの手を経て生まれ変わり、次の使い手に引き継がれていきます。

そもそも、古材屋がなぜ「Web料理通信」で連載?と、ここまで読んで疑問に思ったかたも多いと思います。
それは私たちが古材の活用方法として、店舗などの空間づくりに活かすことを提案しているからなのです。

これまで(リビセンを始めるまえの活動も含めて)全国で、店舗のデザインを手がけてきました。

夫の処女作、東京・蔵前にある「Nui. Hostel & Bar Lounge」。

「Nui. Hostel & Bar Lounge」



リビセン立ち上げ後、初の店舗デザイン案件である東京・武蔵境にある「お酒と料理えいよう」。

「お酒と料理えいよう」



「えいよう」を作るきっかけにもなった個人的にも大好きなお店の「たべごとやのらぼう」。

「たべごとやのらぼう」



そして、最近、リビセンのある諏訪地域に出来た4店舗。

あゆみ食堂



カフェと暮らしの雑貨店 fumi



AMBIRD



八百屋の食卓



それぞれの店舗に使われている古材は、由縁のある場所からのものだったり、その建物の中から出てきたものだったり。

店を続けるって大変なことだから、その店に立つ人が力の湧く店をつくりたい。
その店に立つ人が、一番長く時間を過ごす場所だから、心地のいい場所にしたい。
そして、本当は処分されるはずだった古材が、店主があともうひとふんばり頑張れる根拠や理由になりえることもあるんじゃないかしら、そんな風に思えるのが、②でお伝えしたような古材のもうひとつの良さです。

食に直接関わる仕事ではないけれど、食に向き合う人たちを支える場所づくりをするものとして、これからの連載で、いろんなことをお伝えしていければいいなと思っています。

これまで、様々な人たちの店と関わるなかで、本当に多様な店の在り方を見せていただきました。
お施主さんたちにぐぐっと寄り添って店づくりをしてきたことは、たくさんの反省や失敗もあるけれど、それも含めて貴重な経験でした。
そうして垣間みてきた彼らの価値観が、いまの私たちをつくっているのだとも思っています。

そんなこれまでの店づくりの話や、リビセンとその周りでの暮らしのこと、
いい空間ってなんだろう、とか、そこで過ごす時間についてのこと。
ソフト面からいい空間ってなんだろう、と考えてきたわたしが、
夫と出会って知ったハード面から考えるいい空間についてのこと。
そこで働く人達とのこと。空間における働きかたについてのこと。
どんなことを書いていけるのか自分でも未知なのですが、
これまで言葉にしたいなと思いながらもなかなかできずにいたことを、
こちらの連載をきっかけに、書いていけたらいいなと思っています。
どうぞ、よろしくお願いします。






東野 華南子(あずの・かなこ)
1986年埼玉生まれ。中央大学文学部を卒業し、カフェで店長、ゲストハウスでの女将経験を経て、2014年よりフリーランスデザイナーだった夫・東野唯史氏とともに「medicala」として空間デザインユニットとしての活動をスタートする。15年に新婚旅行で訪れたポートランドのDIYの聖地とも言われる古材住宅資材販売ショップ「ReBulding Center」に感銘を受け、名称の使用許可を得て、16年に同名にて店をオープン。代表取締役は唯史氏。リサイクルショップとしてだけではなく、「REBUILD NEW CULTURE」を信念に掲げ、捨てられていくものや忘れられていく文化を見つめ直し、人々の生活を再び豊かにする仕組みを作るチームを目指す。
http://rebuildingcenter.jp/





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