HOME 〉

RECIPE

制作日数1週間。缶詰を越える感動が待っている「コンビーフ」

【DIYレシピ】「マルディグラ」和知徹さん

2026.09.03

text by Michiko Watanabe / photographs by Tsunenori Yamashita

連載:DIYレシピ

塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。今回は、手間暇の結晶「コンビーフ」を紹介します。

教えてくれた人:東京・銀座「マルディグラ」和知徹さん

「レストランひらまつ」、「グレープガンボ」を経て2001年「マルディグラ」をオープン。フランス料理にとどまらず、世界各国の料理を自身のフィルターに通して表現。『マルディ グラ 和知 徹の牛肉料理:プロのための火入れメソッドと料理バリエーション』(柴田書店)を出版するなど、肉料理のスペシャリストとしてTVや雑誌などメディアでも活躍。メニュー開発など飲食店プロデュースも手掛ける。


「合わせ技」で牛脂に頼らず、しっとり仕上げる

缶詰のコンビーフを越える。それが今回のテーマです(笑)。パサつかず、しっとりとした食感を作りたい。でも、脂には頼りたくない。牛脂に頼らず、旨味たっぷりのしっとりしたコンビーフを目指します。

使用部位はブリスケ(バラでも可)。焼くと固くなる。でも、煮込むと本領を発揮する部位です。日にちはかかりますが、とても簡単。コンビーフの概念を変えるおいしさですよ。

塩漬け最低3日、そして干し3日。干すといっても冷蔵庫で。さらしに巻いてもいいし、巻かずにそのまま網にのせておいてもいい。水分が抜けたら、半分はコンフィにし、半分は蒸す。いろいろと試した結果、しっとりコンビーフのためには、この「コンフィ」と「蒸し」の両方が必要でした。合わせ技で、しっとり感とコク、適度な脂由来のボリューム感も出てくる。パサつきがなくなるわけです。

それから、コンフィの際に、甘味のあるスパイスを香りづけに加えますが、シナモンが多いと、肉本来の香りがマスキングされるので、量には注意してください。脂の部分もしっかりほぐして混ぜ合わせます。手でほぐすから、ラフな感じになるでしょ。それがいいんです。

たとえば、若いコーヒー好きな人が、海とかで遊びながらパクつく感じのBLT感覚のサンドイッチにしてみました。うんとワイルドな感じで、かぶりついてほしいですね。

自家製コンビーフの極意


1.牛肉は、焼いて食べるには硬い安価な部位を使用。

2.乾燥後、表面は熟成香が強いので削り落とす。

3.コンフィの際は甘い香りのスパイスを。肉のクセを消します。

コンビーフのポイント

<調理のポイント>

塩漬けにする理由
肉を塩漬けにして、塩分濃度を高くしておくと、長時間火を入れても肉にはほんのり赤身が残る。

<道具のポイント>

さらし
塩漬けした後、肉を乾燥させる工程でさらし(またはガーゼ)に巻く。両端のガムテープは、糸のほつれを防ぐためのもの。


「コンビーフ」の材料と作り方

[材料]
牛ブリスケ(肩バラ肉)・・・500g
塩・・・8g
黒コショウ・・・大さじ1/2
クローブ・・・2本
オールスパイス・・・2粒
シナモンスティック・・・1本
ニンニク(皮付き)・・・2片
タイム・・・1枝
ラード・・・600g

[作り方]
[1]塩とコショウをふる

肉の表面にまんべんなく塩、コショウをふる。

[2]塩漬け3日

ラップフィルムでぴっちりと巻いて、冷蔵庫に3日間置く。

[3]乾燥3日

ラップをはがし、水分を拭きとったら、さらしに巻いて、冷蔵庫で3日乾燥させる。

[4]トリミング

表面の色が変わった部分を包丁で切り落とす(切り落とした部分は焼いて食べられる)。

[5]半分はコンフィに

肉を2等分に切り、ひとつは厚手の鍋にクローブ、オールスパイス、シナモンスティック、ニンニク、タイム、ラードと共に入れ、中火にかける。

[6]3時間煮る

沸いたら弱火に落として3時間煮る。脂が沸きすぎたら、火から外して温度を下げる。

[7]半分は蒸す

湯気の上がった蒸し器にもう半分の肉を入れ、3時間蒸す。

[8]冷ましてスタンバイ

左が蒸した肉、右がコンフィし終えた肉。それぞれ皿に上げて、冷ましておく。

[9]ほぐす

指で肉の繊維をほぐしながら細かくしていく。脂身の部分は指でつぶし、全体をよく混ぜ合わせたら完成。

コンビーフサンドイッチ
ホットドッグ系のソフトパンにコンビーフをたっぷりサンド。パンを軽くトーストしてから挟むと、コンビーフがほんのり温められ、肉の甘い香りを堪能できる。

(雑誌『料理通信』2014年11号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)


東京・銀座「マルディグラ」の店舗情報


◎Mardi Gras
東京都中央区銀座8-6−19 野田屋ビルB1F
☎03-5568-0222
18:00~23:00
日曜休
JR、東京メトロ新橋駅より徒歩4分
Instagram:@mardi_gras_official_1

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。