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SDGs

フードロスに向き合う世界の事例9選【2021-2022年】

2022.10.24

連載:気候キャンペーン

賞味期限切れや規格外で流通にのせられないなど、本来食べられる食品が捨てられてしまう「フードロス」問題。食料廃棄を減らす取り組みは気候変動の抑制にもつながります。世界の様々な業界で実践されている、注目のアクションを紹介します。

目次







仕入れの工夫からアップサイクルまで! 飲食業界のフードロス対策

【1】フランス
受注生産で食品ロスをゼロに。気鋭の女性シェフが営むパティスリー

2021年11月、パリの隣町ルヴァロア・ペレにオープンした「クレール エイッツレー&プロデュクトゥール」の特徴は“デジタル&エシカル”。予約注文で菓子を製造することで廃棄をゼロにするほか、パッケージ類はプラスチックフリー、デリバリーは自転車を使うなど、CO2削減にもコミットする。

【2】スウェーデン
余剰食品の廃棄ゼロを目指す ゴットランド島コープの取り組み

ゴットランド島にあるスーパーマーケット「ストーラ・コープ・ヴィスビィ」は、地元の蒸留所と協力して、賞味期限切れの商品などを使ったリキュールを開発。店には1日で100kgまで堆肥化できるコンポストマシンも導入している。

【3】イギリス
ロンドンで話題の、食品ロスを削減する“スクラッチ・メニュー”とは

ロンドンのファインダイニング「スプリング」が食品ロス削減に取り組む特別コース「スクラッチ・メニュー」に注目が集まっている。規格外野菜や厨房で出た余剰食材などから3皿のコースを作り、時間限定で提供する。


【4】フランス
注目のパティシエ、ニーナ・メタイエのヴァーチャルブティック

2020年12月にオープンしたパティスリー「デリカティスリー」は店舗を持たず、インターネットで注文を受け、ラボや契約レストランなどでピックアップしてもらうスタイル(エリア限定で配達可)。売れ残りが出ず、菓子を季節やイベントに即した1~2種類に絞ることで製造を効率化し、果物の皮や種も再利用する。

【5】イギリス
サステナブルで野性味溢れるメニューが魅力 ロンドンの隠れ家的スポット

2021年5月、ロンドンにオープンした「ネイティブ・アット・ブラウンズ」は、持続可能な方法によって生産、収穫された旬の英国産素材を駆使し、フードロスを抑えた創作小皿料理を提供する。一般的に廃棄されるタラの頬肉を使ったバーガーが看板料理。

【6】フランス
朝食用のクロワッサンを1日中グルメに楽しむアップサイクル

朝食の定番のクロワッサンに具材をたっぷり挟み、朝から夕方まで提供する店が増えてきたパリ。2021年夏、モンマルトルにオープンしたビストロ「カフェ・ド・リュス」もその一つ。「クロワッサンを様々なソースや具材で変身させる、グルマン的な発想から生まれた、食の芸術のリサイクル」とシェフ。


【7】スウェーデン
牡蠣の殻や魚の骨を、家具や小物に再生するプロジェクト

第2の都市、ヨーテボリに住むインテリアデザイナー、カロリーナ・ヘードが地元のレストランと協力し、レストランで出る食品廃棄物を家具や小物によみがえらせるプロジェクトを手掛け、注目を浴びている。

【8】ペルー
皮や搾りかすも捨てないで! 廃棄を減らし栄養価を高める食育活動

料理学校で講師を務めていたパルミロ・オカンポ氏は、実習で出る大量の食品廃棄物に着目。廃棄部分に含まれる栄養素を調べ、料理に再利用できないかと生徒たちと意見を交わす中で、野菜や果物の皮や搾りかすが持つ魅力と可能性を確信していった。

【9】スペイン
食品廃棄物を徹底的になくす! スペインの新法案整備

スペインでは年間130万トンの食品廃棄物を生み出している。1人につき年間31kgも食品を捨てている計算だ。そんな中、「捨てる食品ほど高い食品はない」をモットーに、農水省を筆頭に食品廃棄物を徹底的に削減する法整備が進んでいる。


「廃棄食品を減らす」今日からできる気候変動へのアクション

国連広報センターが「SDGメディア・コンパクト」に加盟する日本のメディア有志とともに、気候変動対策のアクションを呼び掛けるキャンペーン「1.5℃の約束 – いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」を実施しています。料理通信はこのキャンペーンに参加し、食にかかわる気候変動への取り組みを国内外から紹介していきます。

●ActNow! 今すぐできる『10の行動』

「ActNow」は、個人レベルでの気候アクションをグローバルに呼びかける国連のキャンペーン。どんなことが気候変動の抑制に役立つのか、身近な行動を10項目挙げています。「廃棄食品を減らす」はそのうちの1つで、気候変動の防止に役立つとされています。

廃棄食品を減らす
食料を廃棄すると、食料の生産、加工、梱包、輸送のために使った資源やエネルギーも無駄になります。また、埋め立て地で食品が腐敗すると、強力な温室効果ガスの一種であるメタンガスが発生します。購入した食品は使い切り、食べ残しはすべて堆肥にしましょう。
(国連・ActNowキャンペーン:気候変動の抑制に対して個人でできる『10の行動』より)
イラスト:Niccolo Canova

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