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未来のレストランへ 13

バーの新機能“プチ酒屋”のススメ

東京・銀座「ロックフィッシュ」 間口一就さん

Feature / MovementFeb. 10, 2021

text by Nobuko Terada / photographs by Hide Urabe

2020年4月の緊急事態宣言以降、テイクアウトや通販、レシピ配信などレストランという限られた場所でしか共有できなかったものが、より多くの人の元へ届くようになりました。
窮地に立ったことで生み出された新しい役割をきっかけに飲食店は、次の時代に必要とされる店の在り方を模索して、本格的に生まれ変わろうとしています。その姿は、播かれた種が、懸命に芽を出そうとしている姿に重なります。
未来のレストランはどんな姿をしているのか?
ひと足早く芽を出しつつある5店の事例をお届けします。


まぐちかずなり
1969年生まれ。大阪・北浜で2000年「ロックフィッシュ」をオープン。2002年より銀座に拠点を移す。つまみに関する著書も多数出版。10冊目となる最新刊は初のエッセイ本となった。

ハイボールの店=「ロックフィッシュ」が、店の一角でワインを売り始めました。バーの店主は酒のプロ。スーパーや専門店とは異なるチョイスが売りです。

新型ウイルス感染防止に伴う種々の制約に対して、間口さんの反応は速かった。

3月下旬には、おつまみ弁当のテイクアウトを試行し、続いて「当店はお食事処です」と、フェイスブックで宣言。看板ともいえるユニークなフードメニューを一層充実させた。突然、目の敵にされてしまった「バー」、その1軒のささやかな対抗策だ。その傍ら、クラウドファンディングも検討、そして実施。リアルな店のほうは、緊急事態宣言が出た4月8日から5月いっぱいまでは、クローズした。クローズ中は、各種給付金や融資のため、書類集めや役所・銀行通いをみっちり。期限付酒類小売業免許ももちろん取得した。


(左)バー+お食事処
6月の営業再開から「お食事処」として揚げ物やピザも提供できるように。ポークカツ、ハムカツは既に定番? 青森のカボチャのピザなど、新作も次々。
(右)店の空気を自宅でも
クラウドファンディングのリターンにも登場したかさごのワイングラス。「ぐいぐい」を合言葉に「家を出なくても楽しく飲んでね」の気持ちを込めて。現在は欠品。

クラウドファンディングでは達成額の2倍以上の支援が寄せられ、これにも助けられてカウンターにアクリル板、テーブルにロールスクリーン、フロアに次亜塩素酸空間除菌脱臭機を導入し、6月1日に営業再開。お食事処であるから揚げ物も、とコンロも2口に新装した。さあ、やれることは全部やった。

でも。売上げはなかなか戻らない。再開当初は正午開店としたが、テレワークの普及で昼の銀座に人がいなくなってしまった。常連の高齢者は外出を家族に止められ、「会社で1号になりたくない」と怯える人もあり、どうにも難しい。
「7月、8月も下がって、9月には少し上がって、やっと底は打ったか、このままいけるか、というところでしょうか」

現在、開店時刻は14時に。そろりそろりと、人は街に、バーに、出てくるようになった。そして、間口さんには、新たな企てもある。


バーの店主がチョイスするワインの楽しみ。

ハイボールを日本に浸透させたといっても過言ではないバーだけれども、ロックフィッシュでは今、お酒の小売免許を活用して、ワインを売っている。間口さん自身がワインもよく飲むし、フランスが大好きでしょっちゅう旅に出ては一度に100本くらいも買い込んでいた。店で「土曜の夕方にワインをぐいぐい飲む」イベントの構想も練って、「(株)かさごやワイン」という法人も持っていたのだ。


ワイン販売は常時3種
少ない本数にも対応してくれる酒屋・インポーターさんにお願いして、試飲して、週に1回3種類ほど選ぶ。ちなみに店でワインは飲めない。ぜひ、ハイボールを!

余談ながら、間口さんの「好き力」はそもそも半端ではない。旅だけ取り上げても、フランスのほか、毎週沖縄に豚肉を買いに行ったり、青森に通いつめたり。この、とことんの「好き力」が、いまロックフィッシュの車輪を駆動させているとも思われる。


ワインの仕入れは週1回、3種類ほど。
店の片隅で小さく営業。

ワインは、おつきあいのある酒屋さん、インポーターさんに頼み、もちろん自分で試飲して選んだワインを、週に1回程度、3種類ほどずつ用意する。「ガチガチに攻めたワインは選ばずに」、中華やパスタ、肉の焼いたの、野菜の炒めたのと、家庭の昼めし、晩ごはんにも合わせやすいラインナップ。銀座にハイボールを飲みに来たなら、家に週末こもっても、おいしく飲もう、ぐいぐい飲もうよ。バーの新たな展開は、バーの心意気そのものともいえるのだ。

一緒に手渡されるかさごの絵葉書は、裏にテイスティングノートが書いてある。生きいきと、愛に溢れた、間口さんらしいコメント。ワインは店でも1本から買えるし、SNSを通じての通販はセット(¥6,000〜¥10,000程度)で、3日間など期間を限定して受注してから仕入れる仕組みだ。


バー店主ならではの「小さな酒屋」の営み方
購入と同時に手渡される絵葉書の裏には、テイスティングノート。「すっきりと迷いがなく一本気なキャラクターが格好いい」といった素直でみずみずしいコメントと、お勧めの料理など。SOLD OUTを含めて店に貼っている。


酒類小売業免許を只今、申請中。

さて、期限付小売業免許の有効期間は原則6カ月間(申請が認められると2021年3月末まで延長もできる)。2都道府県以上の消費者に販売することはできないという規制もある。間口さんは、今後を見据えて、期限のない酒類小売業免許(一般・通販)を取得することにした。許可の要件を満たすため、会社を増資する決断もした。12月ころには免許が取得できる予定だ。とはいえ、大きな商いの予定はなく、「1本売って、ハイボール1杯くらいの利益が出れば。今は、全体の売上げを以前の7割に戻すのが目標ですかね。ワインがあると、気分的にはずいぶん楽です」

状況が変わるごとに、急いで必死に対応してきて、気づけば未知のステージにいるロックフィッシュ。もしもウイルスの問題がなければ、どんなだったろう。「隙あらば青森に行って、いっそ世界一周の旅にも出て、愉しく過ごしていたはず。コロナのばかー!!」。間口さんは身近な活動として、閉店後は決まった数軒に立ち寄って1杯、週末は「手を抜かずに酒場でワッショイ」。買い物はできる限り築地でして、お金を使う。応援も回りもの。今年ほど身につまされたことはない。


コロナ禍中の新刊
旅エッセイとレシピの本を2020年9月に刊行。たまたま移動がままならぬ時期と執筆・校正が重なり、旅に焦がれる気持ちが凝縮した。『酒呑み放浪記』(秀和システム刊)¥1,500。


*本記事は雑誌『料理通信』2021年1月号 第2特集「未来のレストランへ vol.4」より抜粋してお届けしています。







◎ロックフィッシュ
東京都中央区銀座7-3-13
ニューギンザビル7F
☎03-5537-6900
14:00~21:30
(土、日曜、祝日~18:00)
不定休
各線新橋駅、銀座駅より徒歩3分
https://twitter.com/ginza_highball
※ワイン通販はSNSで随時告知
















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